クヌースは、聖書の各文書の3章16節だけを比較するという思いもつかないようなことをする。科学者であるが、聖書の矛盾性や整合性などを科学的に議論するのではなく、写本の書体や装飾などの微細な美的な箇所なども執拗に探っていく。このようなスタイルは彼の教科書に通ずる。もちろん、聖書の文字やパターンから隠された意味を無理矢理に探り出そうというのではない。クヌースを知らない人や専門の宗教研究家にとっては、彼の趣味や論点はなじめないかもしれないが、最後の章(講義)のパネルディスカッションには、ミンスキーやスティール、サスマンほか、MITの人工知能研究所に携わった人たちのコメントからはMITという大学の雰囲気が分かり、面白く読めるだろう。
日本語訳には宗教研究家の注が加わっており、適時補足やクヌースの間違いを指摘している。宗教の専門書と言うよりは、クヌースという研究者のエッセイとして、いろいろ楽しめる1冊である。(村藤一雅)
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
コンピュータサイエンスの神様が神様をハックする,
By meta-o (奈良県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: コンピュータ科学者がめったに語らないこと (単行本)
敬虔なルーテル派信者である著者がMITで行なった連続講義(とパネル・ディスカッション)の記録。乱数をテーマにした教科書も書いている著者は聖書のランダム・サンプリングを実行に移す。新約/旧約聖書のすべての3章16節を抽出し徹底的に調べる。さまざまなバージョンの聖書にあたり、ヘブライ語やギリシャ語にまで手を出す。その成果("3:16 : Bible Texts Illuminated"")を出版するにあたり、TeXやMETAFONTの作者である著者は、世界中のカリグラファーに依頼してそれぞれの3章16節のうちの一節をポスターにしてもらい、それを自分でディジタル化する。そんなところばかりおもしろがって読んだが、米国の一流大学の中でも少数派の信仰者が科学と信仰の折り合いをつけている様が垣間見える。
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
コンピュータ科学者でなければ語れないこと,
By 閑中の志士 (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: コンピュータ科学者がめったに語らないこと (単行本)
通勤電車の中で少しずつ読みました。キリスト教に関する大まかな素養がないと、読みづらいところがあるかもしれませんが、作者のまじめさに加えて、コンピュータ科学の本場MITでのアカデミックな雰囲気が実によく伝わってくる内容です。 また、本の中で聖書の翻訳について考究しているくだりがあるせいか、コンピュータ関係の翻訳本にありがちな不自然な日本語がなく、書いてあることに集中して読むことができました。 多くのSE、プログラマは、雑事に溺れてしまいそうな毎日を送っていると思います。この本を読むことで、自分たちの仕事に直接繋がっている学究の徒の一側面を見て、眠っていた向学心を呼び覚まされることになると思います。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
コンピュータ科学を知らない人にも,
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レビュー対象商品: コンピュータ科学者がめったに語らないこと (単行本)
物理学や数学の大家が突然ドロップアウトしてオカルト風な本をだすことがよくありますが、本書はそうしたニューエイジ本ではありません。したがって、語り口は慎重をきわめます。ランダム化というプログラミングの手法と聖書の読み解きを重ねあわせて進んでいく講義は私のような素人にはやや冗長な印象を受けました。抽出された節ごとに作成されたカリグラフィーの図版はなかなか興味深いです。
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