扱う題材は、2進数の処理、ハノイの塔、小町算、チェスの女王配置、チェスのナイト周遊、三目並べゲイム、円周率の計算、ふるい法による素数探索、フェルマー法による素数判定、コッホ曲線などのフラクタル図形、ロジスティック方程式によるカオス現象と、コンピュータサイエンス入門で標準的な話題を並べている。さらにCG入門として、三角関数を用いた図形の操作や、ポリゴンによる3DCG処理、画像圧縮技術などにも触れている。
副題にコンピュータ数学への招待と書いてあるように、数学の記法や用語を避けずに、しかも初心者が親しみやすいような工夫をしている。高校の教科にも2003年度から情報が加わり、コンピュータが日常的な道具として普及した現在、コンピュータリテラシーを学び、さらにもう一歩進めてコンピュータサイエンスの世界に入るための良質な教材が求められている。本書はその候補のひとつとなることを目指していると思われる。
むろん300ページ弱でコンピュータサイエンス入門のすべてを語り尽くすことはできない。こうした本では、何を含めるかより、何を含めずに省いてしまうかの判断が難しいものだ。たとえば本書では、コンピュータの計算の誤差については詳しく触れていないし、また、ネットワークやエイジェントによる分散アルゴリズムや並列アルゴリズムについて、さらに大規模なソフトウエア開発の方法についても言及はしていない。
本書は、具体的なプログラム例を通して、プログラミングの楽しさを習得することに重きをおいた構成をとっている。読者自身が試みることのできる演習問題を添え、学習を進めるための文献ガイドを充実させれば、より優れた入門書になるだろう。(有澤 誠)
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この本は、コンピュータを専門にしている人を対象としていない。
だが、この本の装丁や価格設定が、ターゲットとする読者層をとらえ切れていないようだ。
一般向けの軽い読み物として、位置づけるべきであった。
内容の割りに評価が低いのは、出版社のマーケティングのミスか。
『ハノイの塔』や、『8Queen問題』といったパズルなどを、コンピュータに解かせるためには、どのようにロジック(計算手順)を考えればいいのかを、主題としているとしか思えない。
解答例(ソースコード)も載っているので、プログラマを目指す人には、役に立つかも知れない。
私の期待は、『コンピュータは、プログラミングされたことしかできない。コンピュータの賢さは、プログラミングする人間の賢さである』てな感じで片付けられていた。まあ、確かにそれは事実なんだけど……。