ここ数年、授業や卒論指導、研究室や飲み会の場において学生に伝えたいと思っていたことが見事にかつ分かり易く述べられています。ここまでうまく説明されていることに、計算機科学分野の研究者および大学教員の端くれとして、正直嫉妬するくらいです。脱帽です。
何かについて脅威を抱くとき、私たちはその対象を良く理解して、その対象の強みと弱みを理解しないといけません。強みと弱みを理解しない恐れは「では、どうする?」という問いにつながりません。この本は、コンピューターの原理に着目し、本質的にコンピューターができること、できないこと。そして、それから導き出されるコンピューターが得意なこと不得意なことを丁寧に説明しています。途中で数学の用語が登場しますが、高校生レベルの数学用語ですからそれほど難しくないと思います(難しいと思ったらその部分を読み飛ばしても良いとおもいます)。
この本を読み進めると、ある意味で絶望します。そして、楽しくない未来が垣間見えます。若い人ほどそうなります。ですが、既にコンピューターは存在し、私たちの生活で欠くことのできないものになっていますので、見ないフリをしてもその存在はかわりません。むしろ、コンピューターの強みと弱みを良く知り、コンピューターの主人として楽しく人生を送っていくのが、私たちの楽しい未来だと思います。ぜひ、ご一読を。