「星に願いを」「喫茶店コスモス」は短編、「本物の変身ベルト」は前の二つをあわせたぐらいの長さの中編だ。
小学生の初恋や年配の男性の人生の振り返り、ひとり暮らしの若い男性の生活。
それぞれは異なる立場の人物達だが、世界のどこかに不思議が残っていてもいいじゃないかと思いながら、この世界を捨てたものではないと感じている。
シリーズ三作目となると、もう泣かされないぞと気合もあったはずなのだが、やっぱり号泣の一気読みとなってしまった。
一旦、スイッチが入ると、何気ない一文でさえ涙を誘われる。こんな風に世界を眺めていたいと思う、自分の感性にフィットしているのだろう。
人の営みは儚くて、そのくせ、破壊的なこともあるけれども。
今より少しだけよりよく。そんな祈りを積み重ねてきた。
別れても、別れても、ひとはまた次のひとと出会うから。
別れた人もきっと遠くで祈っている。思いはいつか届く。
世界はとてもとても美しい。
その美しさを歌う物語に、ささくれた気持ちもすっきりとないでいくような気がした。