CIA特務機関、と言うと、いかにも悪辣で胡散くさいイメージが思い浮かぶ。しかし、今作の主人公が属しているのは、ミステリーからコミックまで世界中のあらゆる書物を読み漁り、その中に隠された敵対勢力の謀略、暗号の意味を解読するセクション、何とも緊張感のない知的遊戯な仕事。だが、ある雨の日、主人公がランチを買いに出かけた隙に何者かが侵入、課員が皆殺しにされてしまう。信頼していた“巨大組織”からも裏切られ、生き残った主人公の孤独な闘いが始まる。
見事な導入部、全編に蔓延するひりひりとした緊迫感、シャープでクリアな色調、クールな肌触り、そして紛れもなくジャーナリスティックな硬派精神、今回久しぶりに見直してみたけど、やっぱり良いよなぁ、このリズム。今見てもスゴク面白い。
当時最も俳優として充実したキャリアを歩んでいたレッドフォードと、先日惜しくも亡くなってしまったNYリベラル派の重鎮ポラックの名コンビによる70年代テイストに溢れるサスペンス映画の傑作。「フレンチコネクション」、「エクソシスト」、「サブウェイパニック」と、リアルなロー・ライティングで当時傑作を連打していた名手オーウェン・ロイズマンのカメラ、JAZZのコンポーザーとして有名だったデイヴ・グルーシンの音楽も素晴らしいが、特筆すべきは、元CIA職員にして雇われ殺し屋を演じたマックス・フォン・シドー。善悪を超越した冷徹さと達観した賢者の様なそのプロフェッショナルぶりに痺れる事必至だ。
サスペンスって言ったけど、レッドフォードがフェイ・ダナウェイと絡むシーンも見せ場あり。モノクロ写真とのカットバックを織り交ぜるラヴ・シーンは、いかにも70年代を感じさせますが(笑)。