とかく「物流」というのは地味な存在だ。
食品、電気製品、衣料品、医薬品、家具調度品、などなど。
とかく世の中に出回っているもので物流のお世話になっていないものはない。
そもそも私たち消費者がアマゾンドットコムに注文した書籍やDVDを受け取る時でさえ「物流」を意識することはほとんどない。
注文した商品がいつ手元に届くのか配達のお兄さんや郵便ポストだけが気になるくらいではないだろうか。
それほど地味な存在だが、「水道」「電気」「ガス」「公共交通」と同じぐらい大切な社会基盤なのだ。
その中でも「コンテナ」の存在は重要だ。
これまでも、そんなこと分かってはいたのだが、なんといっても地味な物流アイテムとして存在しているため、ほとんど気にも留めていなかった。
しかし本書を読んでみると、第2次世界大戦後にコンテナがもたらした人々への恩恵は計り知れないことが分かるのだ。
そして、そのコンテナ運送のシステムを生み出したのが官の力ではなく、民の力であったことを知るに及び、驚きをさらに大きくするのだった。
関西で生まれ育った私には、できたばかりの阪神高速道路神戸線から眺められた無数の艀が、いつの間にか消えてしまった時期と、本書に記されていたコンテナ普及の歴史とピッタリと符合して面白かったし、街中を走る「EVERGREEN」と書かれた緑色の海上コンテナがなんであるのか謎が解けて、これまた面白かった。
コンテナという地味な存在にスポットライトを当てた「物流歴史本」。
非常に面白いし、ためになる一冊だった。
ただひとつ欠点を上げるなら、価格がちと高い、ということろだろうか(笑)。