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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
文章は悪くはないが、歴史叙述と小説の融合に失敗している,
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レビュー対象商品: コンスタンティヌス ユーロの夜明け (単行本)
小説を書くことのできる学者と、良質な講義のできる作家というものがいる。しかし必ずしも皆がそうであるわけではない。誤りでないと納得しがたい、という意味で、本書にはふたつの*誤り*がある。一つは巻末の著者紹介欄で、本書が「小説」と定義されていること。もう一つは、「ユーロの夜明け」という副題。本書中「小説」と言えるのは全10章のうち、2章と6章、及び5章の最初の数ページだけ。あとは歴史概説が延々と続く。小説というより、モンタネッリ「ローマの歴史」や塩野七生「ローマ人の物語」に近い内容である。叙述以外にも、小説だと考えると納得しがたい近代用語が各所に顔を出す。インフレ、アイデンティティ、ノスタルジー、ガン、ハンセン病等。更には唐突で不可解な注釈が出てくることもある。ラプスイ(複数形)、(テオドシウス法典十六、(中略)紀元381年7月19日付け)等。ラプスイが何なのかさえどうでもいい文脈で、わざわざ複数形、と断る理由は何だろう。テオドシウス法典に関しては、突然出典の注釈が出来るので戸惑うことしきり。しかも当時まだ使われなかった西暦で「XXX日付け」となっている点も違和感を感じる。 もう一つ例を挙げさせていただく。「最盛期人口1億、4世紀には7000万人(p250)という記載が登場するが、今の学会では紀元前後4500万、2世紀中のペスト流行前6000万という数が定説に近くなってきており、最盛期の人口を1億と記している著名な著者はギボンである。「小説」ならば、この誇大な数値も特に問題にはならないが、小説だか歴史一般書だか判然としないため、違和感を感じる。 端的にいうなら、キャラがまったく生きておらず、殆ど9割方、歴史の流れを追いかけた叙述となっている為、2章、5章冒頭、6章を外し、帝政期後半の記述が浅いモンタネッリの補足書という位置づけにすれば、中途半端な書籍にならずに済んだのではないかと思う。内容を良く吟味してから買うべき。
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