2006年現在、コミックバンチで不定期連載を行っている本作。
バンチは一応創刊から読み続けているが、いつの間にか一番楽しみするようになっていたのが『コンシェルジュ』だ。
物語の主な展開は、舞台となるホテルで起きるトラブルや、宿泊客の要望などに、主人公たちコンシェルジュが対処していく、というのが大筋。
職業に焦点を当てたマンガの定番である。
本作の特徴は、そのトラブル、要望などが、決して長続きしないということ。
それは当然、相手は客なのだから、長時間問題にあたることは失礼に当たるわけで。
一つ一つの問題は、たいがい1話、長くかかっても2,3話で解決してしまう。言ってみれば、ほとんどが短編である。
故に、そう手の込んだことはできはしない。
伏線を張り、読者を誘導して、あっと驚かせるようなことはない。
だからこそ自然に際立てくる。一話一編の構成の巧みさが。そして作品に漂う雰囲気が。
基本の起承転結ががっしり出来ているからこそ、派手なことなどほとんどないのに、読者は読みいってしまう。
しっかりとした取材をして組上げた屋台骨と、共感投影できる主人公たちの存在が、紙面で展開されているのにまるで眼前で起きているかのように惹きこまれる。
まさに熟練の技巧。
中心人物の最上などはまさにそれ。それなりの年月を生きて、経験を経たからこその円熟さが可能にする様々な神技と言っていい。
熟練が描く熟練は、若い身空にはなにかと染み入るものがあるわけで。
熟練の境地、ご覧あれ。