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「明確な動機」「目指すべき理念」「依拠すべき統一的な物語」を欠いたまま生きるわれわれ(「カーニバル化する社会」鈴木謙介)の日常に唐突に与えられた自由は、その実「宙ぶらりんの自我」を突きつけられうろたえ、おびえる私を招来する。
ドーベルマンの子犬を見たことがある。滑らかなビロードのような毛におおわれた勾玉のようなちいさきものは、あの成犬の獰猛さを微塵も感じさせないほど小刻みに震えていた。寒いからなのかと思ったが、それは母親からはなされたことの不安から来るものだそうだ。
全身が震えるような不安。実存の不安を、そこから小さな光へと導くものはやはりベアトリ-チェであった。記憶と記録が無限に広がっていくブログという天上に向けて、彼女の手は勲の手に、魂へと重ねあわされていく。
記憶とは何か? 祭りは何故おこなわれるのか? 地震によって、非日常によって覚醒されるわれわれの生は実在なのか、夢なのか。あたらしい物語は紡がれるのか。勲は一体なにをわれわれにコンシェルジュしてくれるのか?もっともっと知りたい。この物語は今始まったばかりだ。勲のリボーンのように。
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