コンサルティング業界を目指す人は、本書を読まないほうがいいかもしれない。日本、アメリカ、イギリスの著明なコンサルティングファームで働き、パートナーにまで上りつめた著者が、書名の通りコンサルティングファームの悪魔的な実態とそこで働く人々の悪魔的な所業を暴いてるからだ。コンサルティングファームにとってはほとんど致命的な暴露本といえるのではないだろうか。
まるでジョン・グリシャムの小説のように、コンサルティングファームに対するイメージとはあまりにもかけ離れたエピソードが連続する。しかも、世界的によく知られている企業が実名で出てくるから、書かれていることは真実なのだろう。エピソードの多くは、クライアントの弱みにつけ込んでいかに巧みに金を巻き上げるしくみを作り上げたか、コンサルティングファーム社内での足の引っ張り合い、といったコンサルタントたちの醜い日常である。
副題に「日本企業を食い荒らす騙しの手口」とあるが、騙された企業として登場するのはほとんどが欧米の企業である。本書は、その騙しの手口でいま日本企業が食い荒らされている、という警鐘を鳴らしているのである。(坂井 誠)
In this gripping and colorful account of the American dream gone astray, Lewis Pinault provides the essential guidelines on how to get ahead and an enlightening perspective on the brutal infighting that can engulf even the most civilized consulting firm. This stunning exposé of some of the most prestigious and respected names in the business leads you into a world where a client's interests are skillfully subordinated to those of the consultants, where money rules the day, and where principles and morals are unwelcome baggage.
Humorous and insightful, this no-holds-barred account takes you behind the scenes of the dehumanizing indoctrination of an academic intellectual into an exploitative -- and exploited -- "global transformation contractor." Featuring new material dealing with the e-consulting industry's boom, bust, and its future, Consulting Demons offers the most complete look at an industry that exacts the highest prices for the most questionable standards of success.
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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
コンサルティングという虚業,
レビュー対象商品: コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口 (単行本)
グレシャムの‘The Firm”「法律事務所」では、企業の法律顧問事務所が、如何に企業に取り入り「訴訟社会」を逆手にとって、モラル抜きの手練手管で高額報酬を得ているかが描かれていた。そこに働く少壮の弁護士達が、高額報酬と栄達の為に、理想とモラルを失って行く姿には迫力があった。 本書は小説では無く、著者自身の体験談ではあるが、法律事務所と同様、あるいはそれよりも更に非人間的といえるかもしれない「経営コンサルティング会社」の内幕に迫ったものである。 現代の社会変革期において、経営建てなおしに苦吟する企業に食い入り、弱点につけ込み、騙し、高額の報酬を剥ぎ取って行く「悪魔の所業」を描いたものだが、何しろ97年までの12年間、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、ジェミニ・コンサルティング、アーサー・D・リトル(ADL)、クーパースなどの当代一流のコンサルティング会社に所属し、最終的にはパートナーにも上り詰めた著者の実体験を描いたものだけに迫力がある。 知ったかぶりによって企業を信用させ、中身の薄いコンサルティングにもったいぶった権威があるかのように見せかけ、高い料金ほふっかける。裏付けのない新しい経営手法を持ち込み企業で実証実験をし、失敗しても責任は取らない。時には経営改革のセミナーで顧客企業を洗脳する手口を使い、調査の名の下に非合法な産業スパイ行為にも手を染め、顧客を裏切って寝返ることもしばしばーーーというのだから確かに悪魔の所業といえる。 どのような動機で本書が書かれたかが定かでないので、本書に書いてあることを100%事実であるとは断言できないが確かに、符合する部分があるのも事実だ。 常にファーストクラスで移動し、最高級のホテルと最高級のレストランを使いその費用は全て顧客に持たせる。このような生活を続けて行くうちにコンサルタント自身が、自分を見失い悪魔へと変身して行ってしまう様子を、著者自身を含め、何人かの同僚の例を上げて描いているが、The Firmの弁護士達とコンサルタントは実に良く似ている。 そもそも、このようなコンサルティング業が成り立つ背景には、自らの経営や、経営改革を外部のコンサルティング会社に丸投げしたり、提案書を鵜呑みにしてしまう企業があるからだと本書は訴えている。 著者は、コンサルティング業界に入る以前は日本鋼管に勤務していた。又、そのコンサルティング経験は、日本とアジアを中心としたものであり、日本企業の実名、あるいは容易に類推できる仮名の人物などが多く登場する。 騙す方が悪いのか、騙される方がバカなのか、日本経済の仕組みそのものが本書で嘲笑されているような気がして、一寸暗い気持ちにもなるが、面白い本である。
18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
米国資本主義流の、良心の保ち方,
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レビュー対象商品: コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口 (単行本)
ノンフィクションの読み物としても愉しめた。ただ、この作者の人生の泳ぎ方には嫌悪感を覚えてしまうので4点までとした。この本が「面白く」読めたのは、コンサルティング業界といったジャンル物としてのみならず、現代ビジネスシーンにおける人間性の問題について喚起させられることが少なくなかったからである。最初の章の中に「エリート」の卵と見られる若い日本人女性が著者の会社の入社試験としてインタビューに臨むシーンがある。彼女がいかに、コンサルティング業の「踏み絵」を超えるかが端的に述べられている。それは、例えばMBA取得者や「高学歴」者たちの中にみられる「要領の良さ」や、彼らが「プロフェッショナル」という言葉で片付けてしまいがちな、「『良心』の殺し方」といった印象のある、一種の業界人としての儀式のようなものらしく思われた。 かなりな雑草系(^^)のキャリアで金融界の「エリート」と身近に席を並べた者としては、「一般」の人たちと同様に「こいつら何を考えてるんだろう」と感じられることがしばしばある。その答えというのが、この本に登場する、現代の米国資本主義社会におけるプロ、といった面々がみせる「立ち回りかた」であり、彼らの意識のプライオリティーがごく条件反射的にその対処法に向けられるようだ、ということがこの本を通して意外と見えやすくなってくる。 この時代にメシを食わねばならない、となれば、この本に登場する人物たちによって継承されている価値観がマジョリティーなのだということは、充分に認識してかからなければならないだろ。その意味で、学生諸君や「第二新卒」の方々の中でエリートたちの思考方法に「違和感」などを感じてしまう向きには参考となる挿話が少なくないと思う。米国流というものは、あの社会が口で言うほどには善悪を問わない。自分たちにとって「利」か否かが最優先の重要事項だ。それはあの国の言動をみてもよく分る。そして、彼らにとって良心というものは、それを生きるという美意識からは遠く、まあいずれ「懺悔」でもやって生活を固めてからやり直せばいい、といった程度のもののようだ。 毅然たる自己を保ち続けて、なお生活を破綻させないためには、この本に登場する「敵」を知ることも、「歯まで武装する」うえでの一手段ではないだろうか。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
内容はすばらしいが,
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レビュー対象商品: コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口 (単行本)
翻訳で損している。おそらく、英語の関係代名詞節を端から全部翻訳したのだろう。 英語では、いくら関係代名詞節をつなげようとも、述語は主語の直後にある、と言う法則があるので、読める。 日本語でこれをやられると、主語と述語が遠く離れてしまって読みにくいことはなはなだしい。野口悠紀雄氏が「超文章法」で言うところの「主語述語泣き別れシンドローム」である。 内容については秀逸である。各章ごとにエピソードから入って最後に「悪魔学」としてまとめる斬新な手法も生きている。
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