本書は、野口吉昭さんが、キャリアの長期的形成のための道筋を、「習慣化」をキーワードにして解説したものだ。読んでみると、改めて、「独創的なキャリア」や「プロの技」といったものは、
1) 徹底的に基本を忠実に学び
2) そこに独創性を臨機応変に織り交ぜ
3) 自分自身の完全なオリジナルモデルとして確立
というプロセスが基礎だと再認識できる。野口吉昭さんは、これを守破離という流れで説明している。重要なことは、上記の3プロセスは互いに独立したものではなく、連結している。その道の名人であっても、基本を徹底的に反復すること、また、ビギナーであっても、名人の域に達するまでの自分の姿を意識しながらスキルの習熟に励むということだ。
また、言い古されたことだが、大きな目的を持ちながら、途中に小さな目標を立て、日々の小さな進歩を続けていくことが、やはり王道であって、その間を何らかの形でPDCAすることだ。
日々の小さな進歩の継続自体に面白さを見出せれば、当初は意図的に「習慣化」したことが、やがて「無意識」に「日常化」できるという、野口吉昭さんの指摘は正しい。これがPDCAの一つの到達点で、ここに至るまで1万時間かかるという。毎日3時間で9年1月2週間だ。この数字が全てではないが、その道のプロとして名乗るにはそのくらいの修行が必要ということだ。
最近はプロという言葉が流行だが、プロになるための具体的な道筋を示した書物は、あまり多くないと思う。 私自身の信条として常に持っているものは、
「どんな仕事にも必ず面白さはある。その面白さを発見し、そこを起点に取り組むとものすごい速さで実力が身に着く」
ということだ。本書は、私の信条について「正しい」と教えてくれているところもあり、満足しながら読むことができた。迷っている人にはまずは何よりも「好きなことがあればガンガンにハマっていけ」それを習慣にしろという言葉を贈りたい。