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コンクリートが危ない (岩波新書)
 
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コンクリートが危ない (岩波新書) [新書]

小林 一輔
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日経ビジネス

山陽新幹線で起こったトンネル内コンクリート壁の崩落事故によって、新幹線の「安全神話」が大きく揺らいでいる。奇しくも、この事故を「予言」していたのが本書だ。著者はコンクリート工学が専門の千葉工業大学教授。新聞やテレビなどで事故の原因について指摘しているのを見た人も少なくないだろう。

完成から25年程度しかたっていない山陽新幹線のコンクリート構造物が、なぜ脆くも崩れたのか。高濃度の塩分を含む海砂がコンクリートの材料に使われていることや、十分な強度を保てるような施工がなされていない点などを著者は明らかにする。しかも、日本のコンクリート建築の品質は、東京オリンピックが開かれた1964年を境に著しく劣化しているのだという。

山陽新幹線高架橋のひび割れや腐食の実態については写真とともに紹介している。2005~2010年にコンクリート構造物が一斉に壊れ始める――。こんなショッキングな予測も十分な説得力を持っている。


(日経ビジネス1999/7/26号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)

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第16回(2000年) 講談社科学出版賞受賞

登録情報

  • 新書: 230ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1999/5/20)
  • ISBN-10: 4004306167
  • ISBN-13: 978-4004306160
  • 発売日: 1999/5/20
  • 商品の寸法: 17 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 215,580位 (本のベストセラーを見る)
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形式:新書
山陽新幹線の高架でコンクリートの急速な劣化が見られたところから話が進んでいきます。

これは高架に限らず、ダムやマンションにも見られるものです。1970年代頃に造られたもので地域的には関西以西のほう散見されるようです。

コンクリートの劣化の原因には、アルカリ骨材(火山ガラスを含む安山岩、微小石英を含む砂岩・粘板岩など)を使うこと、生コンの流動性を高くするための不法加水、海砂に含まれる過度の塩分などがあります。コンクリートから染み出す白い漆喰状の白華現象は劣化のシグナルです。

日本では建築物に対する検査が甘いこと、官庁が権限が増すでもないのに寝た子をおこして仕事が増えるのを嫌うこと、業者もばれなきゃ手を抜こうという気持ちがあること、チェックするには能力、時間、コストを必要とすることなどからこのような事態を招いたのです。

そんなことから1998年には建築基準法が改正されたのですが、これも、姉歯建築士を発端に発覚した耐震強度偽装事件でその効果がほとんど無かったことがわかりました。国土交通省が07年3月29日に発表した築5年以内の全国のマンションからの無作為抽出試験の結果は「問題がある建物は当初の予想より多く、安全性に対する認識を変えざるを得ない」という状況です。これはコンクリートの問題だけではありませんが。最近コンプライアンスという言葉をよくききますが、実情は消費者に何らかのチェック能力がなければ企業側に手玉に取られるということでしょう。
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形式:新書
■ 【山陽新幹線が危ない】
開通から15年目を迎える山陽新幹線が、その高架橋に
コンクリートの塊落下、剥離、異常なひび割れなど数多く
発生し、その為の調査団が組織された。著者は、当時、
東大生研教授(土木工学)として参加し、それから阪神
淡路大震災後の1998年までの15年に渡る調査を通じた
エキスをベースに本書はまとめている。

■ 【鉄筋が解ける、コンクリが潰れる】
その調査を通じ、今までのコンクリート構造物について
の考えを変える見解を学会なども通じて指摘し続け、本
書ではその内容を分り易く紹介している。即ち、耐久性
60年以上の神話は、東京オリンピック(1984年)以降の
高度成長を境にバッチからポンプへの打込み施工変更
が大きく、耐久性30年以下になってしまった。理由とし
て、海砂、不良骨材、不良セメントなどによるアルカリ骨
材反応発生であり、塩化物による融解による鉄筋断面
欠損、水分・CO2による潜在的膨張に伴うコンクリート圧
縮耐力低下(50%以上)などで、従来の、耐久性は単な
る「『中性化』による鉄筋錆膨張(2.5倍)による爆裂」とは
違う化学的見解を展開している。

■ 【JIS生コン工場のセメント偽装】
本書は1999年に発行された。それから10年、今年
(2008年)7月に、国交省は、神奈川県のJIS規格工場の
六会生コン(共同組合?)が規格外の生コンを1年間に
渡り、200か所の現場に出荷しており、指定工場を取消
すことを発表した。何を今更?の感がある。と言うのは、
本著者によれば、JIS生コンプラントは全国で五千弱あり、
サンプリングの立入調査で毎年10%が是正勧告を受けて
いると言うからです。

■ 【100戸以上か、超高層マンションに限る】
蛇足の感があるが、著者はマンション住いで管理組合
理事などの経験から、最後に、マンション選びのコツに
ついて語る。(混ぜ物の生コンは、監理が難しいので一
言で言うなら)「100戸以上、若しくは、超高層マンション
に限る」と。
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形式:新書
コンクリート、モルタル、レイタンス、山砂・海砂、骨材、鉄筋(腐食)…建設の現場では当たり前のものとして話されている言葉の本質もさりげなく理解できる。欠陥構造物についての社会的警鐘の書としても、一般人にとってのコンクリートについての基礎知識を得るための入門書としても、広く読まれていい良書。
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