1492年8月3日出港の第一回航海日誌の記録で、現存する唯一のものだ。10月11日には最初の陸地を発見している。面白いのは乗船者の不安を和らげるため、船団の進んだ距離を実際より毎日10%前後増やした距離を知らせていたこと。ここまでは日誌全体の15%ぐらいの分量。残りの85%は、島を発見した後の各島の人々との交流場面を詳細に記述している。次から次に島々を訪ねながら丹念に観察、調査している。何がその主目的かの記述が興味深い〜コロンブスは黄金(金鉱)の有無と、布教(キリスト教)の可能性確度を慎重に吟味する。未知の世界に身を置きながら冒険を淡々と記述した彼のenterprise(冒険心)を思わずにはいられない。先の二つの重要情報と各訪問先の特徴的なブツを持ち帰るため腐心したり、部下の反乱に遭遇したりもする。航海に対する出資者への約束と自らの名誉・冒険心の導きに素直に従い、高い業績を残したプロセスを克明に記した書である。現代版ベンチャーに置き換えても、こうした「未知への遭遇」に対峙する挑戦・ロマンを忘れていることを想起させてくれる本だ。