本書は、モダンジャズの神話的存在であるサックス奏者、John Coltraneの40年の生涯を詳細に写真で追ったものであるが、ともかく素晴らしいモノクロ写真の数々に総毛立つ。純朴そうな顔つきの田舎青年だったColtraneの表情が音楽の進化とともに急速に引き締まり、深い憂いを浮かべた賢人の顔付きへと変わってゆくと同時に、当時の彼を取り巻く社会的状況も極度に緊張を高めつつあった様が迫ってくるのである。本来はColtraneのファン向けのオタク的な写真集であるにもかかわらず、60年代という時代を見事に伝える迫真のドキュメントと称して良いだろう。それほど、Coltraneは一時代を象徴する真のアーティストであったのである。藤岡氏の手により、2011年に我が国より発信された3つのColtrane研究の成果ー評伝(岩波新書)、CD(Live in Japan完全版)、そして本写真集ーを世界に誇るべきである。