1台のタクシーで起こるたった一晩の物語にしては、シーンも会話もいかしてるし、なによりもマイケル・マンお得意の夜景、それはそれは美しいのです。カメラアングルも彼の持ち味であるダンディズムをうまく増幅しています。
マックスを演じるジェイミー・フォックスは、映画「レイ」で神がかり的な演技でアカデミー主演男優賞を受賞、マン監督にも気に入られてその後「マイアミ・バイス」にも起用された新進気鋭の俳優です。
「殺したのは銃弾で、俺は撃っただけ」という独特の殺しの哲学を持つビンセントと、「人間なら誰でも持っているはずの何かがあんたには欠けている」と話すマックスとの、人間性の対比がタクシーの前後の席で繰りひろげられます。
しかし本来憎むべき殺し屋のビンセントにも、トム・クルーズが演じているということ以外になんとなく共感を感じてしまいます。それは彼に、「目的に向かって一切の迷いなく突き進む」という潔さ、男らしさを感じるからでしょうか?そういう意味では、マックスの方は夢ばかり見ていていつまでたっても何も出来ない典型的な負け犬に見えてきます。高そうなスーツだけでなく、ビンセントのそういったプロの殺し屋としての身のこなしや、惚れ惚れするような銃の扱いのかっこよさも共感する一因かもしれません。
マイケル・マンは、サム・ペキンパーのように男臭い映画を撮ることで有名な監督です。女性を描くのが下手なのもペキンパーゆずりかも。下手です、はい。というか、「マイアミ・バイス」もそうでしたが、どうでもいいと思ってるのかも・・・。
とにかくダンディズムや哀愁、渋さにかけては現代屈指の監督だと思います。また生の銃声をわざわざ録音して使ったり、銃痕にまでリアリティを追求するという彼のガンアクションの演出も、我々男どもにびしびしと訴えるものがあるのかもしれません。トム・クルーズファン、あるいは男の色気に興味のある女性の方へお勧め。もちろん硬派の男性には100%お勧めです。