コラテラル・ダメージとは戦場における不可避な犠牲者のこと。
アメリカ軍は第二次大戦、ベトナム戦争、湾岸・イラク戦争、その他数々の地域紛争に介入しては、敵の首魁や手向かう兵士だけではなく、多数の民間人を空爆などで殺害していますが、これも「コラテラルダメージ」の一言で全て済ませてしまう。
日本ではその後の手厚いケアによって反米にはなりませんでしたが、多くの国々は捨て置かれているため、結果として家族や友人を殺された世界中の人々が憎しみから反米となり、復讐の為テロリストになって、現在のアメリカの大きな不安材料になっています。
本作品では平凡な暮らしをしていた消防士ゴーディが、コロンビアの反米テロリスト「ウルフ」の爆弾テロで妻子を殺されるが、アメリカ政府はコロンビア政府との政治的な兼ね合いでウルフに手出しできず、ゴーディの家族も「コラテラルダメージ」で済まされてしまう。
ゴーディは単身コロンビアに乗り込み、ウルフを暗殺しようとする・・・という、ジャック・ヒギンズのハードボイルド復讐小説のような映画です。
ゴーディは爆発物による火災消火の専門家ということから手製爆弾の製造などもお手の物。
内戦国に近いコロンビアに潜入していくストーリーなので、前半は非常にスリルがある・・・はず。
ただ、絶対死にそうもないスターであるシュワちゃんなので、スリラーアクションとしてはあまりスリルがなく、どうしても安心してみてしまうという点がミスマッチ。
シュワちゃんは役者の特性として陰がなく、華がありすぎの陽性の役者なので、シュワ=ゴーディに悲しみと鬱積した憎しみの陰を感じられないのが最大のミスキャスト。
ウルフとゴーディが実は似たもの同士というハードボイルド小説的な男臭いストーリー設定が、シュワちゃんの強烈な個性で殺されてます。
この脚本でやるなら「ナイトホークス」でも、地味で陰気なイイ味出していたスタローンの方が向いている映画かも(チャールズ・ブロンソンやマックイーンのような俳優が今もいれば一番でしょうが・・・・ああいう俳優も少なくなりましたし)。
シュワちゃんはこういう重い主題より「トゥルーライズ」のような「テロリスト=理由もなく悪人」、「シュワ=とにかく正義の味方」の単純娯楽映画の方が向いていると再確認できてしまう作品でした。
ド素人が助かりそうもない危機に陥っているのに、なぜシュワちゃんが無事に帰ってこれたのかちゃんと訳があることも後半でわかりますし、ストーリーのどんでん返しも凝っていて、そんなにご都合主義でもないストーリー。
ウルフも絶対悪ではなく、とても悲しい男であったことが最後の最後にゴーディが理解するところも良い。
とてもよい脚本だと思います。
もしかしたら名作になりうるお話が、娯楽活劇になろうとして中途半端になってしまった感がありますが、実際観てみるとかなり面白いですので星3です。