ベートーヴェンは音楽史では、古典派からロマン派に分類されています。しかし、ピアノ・ソナタ中心の選ばれた曲を聴いてみると、まるで現代の広汎なミニマル・ミュージックのようでした。ロック音楽のベースのカッティングの要素も聴こえてくる。そうか、ベートーヴェンは現代の作曲家だったのか。
グールドの演奏するピアノ・ソナタ第1番やブーレーズの指揮するテンポの遅い「運命」を聴くと、特に構造的な曲の構成がはっきりしてきます。ただ、ベートーヴェンには様式に飽き足らず「俺は違うんだ」という主張が出て、ロマン派になると『古典派』の巻で坂本龍一は指摘していました。ピアノ・ソナタも≪テンペスト≫当りから「ちょっと壊れはじめている」(坂本)し、弦楽四重奏曲も「大フーガ」などは完全に「壊れている」音楽だと思います。その辺が魅力。