本書のキーワード「コモンズ」は共有性、すなわち多数の人々によって平等に保有または享受されることを意味する言葉だ。話はインターネットの創生から始まるが、電話網に代表されるワイヤードにおける「コモンズ」の寄与、そして無線世界でのアプローチなどを踏まえ、「コントロール」するべきものとするべきでないものを明確に定義し、インターネットでの所有権のあり方について議論を行っている。昨今のアメリカでは音楽の配信・映画の配信に伴う著作権の問題や一部企業の製品による独占的な市場のコントロールの問題に対して重要な判決が下されているが、このような事態に対して著作権は企業が利益を確保するための手段に成り下がり、本来の目的から大いにゆがめられていると世間からも非難の声が上がっている。ましてやアメリカではミッキーマウスの著作権に代表されるように行き過ぎた面が見られる。
本書はそのような流れに対し、最も進歩を促すリソースの所有形態を提示している。当然、本書の意見については企業としては賛同できない部分もあるかもしれない。しかし自社の製品を生み出す源泉がいったい何であるのかを考えれば、そして市場の成長を促すものが何であるのかを考えれば、行き過ぎた所有権はトータルでマイナスに働くということに気が付くだろう。
本書はインターネットでの所有権のあり方について、その意味と理由を含めて学ぶことのできる書籍として大いに役立つだろう。インターネットを信奉するすべての人におすすめしたい。(斎藤牧人)
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最も参考になったカスタマーレビュー
38 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
インターネットの本質的な自由さとその消滅,
By Napsterやオープン・ソースなど、インターネットと知的所有権の衝突に関わる昨今のさまざまなトピックを、テクノロジーに強い法学者の視点から明快に解説している。これらのトピックを細かく追っていない人にはハンディな情報源となるだろう。 著者は本書で、インターネットの自由さを守るべき理由として、社会全体のイノベーションの量の最大化という概念を持ってきたわけだが、私は「イノベーションをつねに最大化することが必ずしも望ましいわけではない」という反論がありうると思った。特に著者が例として示すコンテンツ・レベルでのイノベーションはあまり魅力的ではないので、いまひとつ説得力がない。 しかしいずれにせよ、インターネットの自由を守るためには意識的な介入が必要なのだという「規制による自由」論者の理論武装に役立つ刺激的な本である。テクノロジーにそれほど詳しくない人には、日頃深く考えずに使っているインターネットの意義を考えるきっかけとしてお勧めする。
15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
日本的著作権を考察する前に読むべき文献,
By JASRAQは著作権期間の延長を求めて、IT企業は著作者人格権まで放棄しろと利用規約で謳う 法律家は著作権が相対的な排他的独占権であることの説明も無しに依頼者に証拠が必要だと勧誘する 複製手段の独占がPC・インターネットの爆発的普及によって崩れ 日本が国家生命を賭けるギャンブルである知的財産戦略
5つ星のうち 4.0
山形浩生節がなあ,
By
レビュー対象商品: コモンズ (単行本)
かなり ざくざくって翻訳するのはあんまり 肌に合わないのですが、、、それはおいといて スティグリッツが(情報の非対称性でノーベル賞をとった経済学者の方です)が、著作権問題について レッシングと同様の発言を繰り返していた、スティグリッツは、レッシングと異なり主として「貪欲経済主義」 との関係から述べていたので、興味を持って読んだのですが 非常に明晰で説得力がありました 取り上げられる事案の何割かは既に報道で聞いたことのあるものでしたが、こういう話だったのね というのが、まあ良くわかります。ITも法も私の専門でも無いのですが、貪欲な既得権益者が社会全体の発展の 阻害になる構図を阻止する普遍的な重要な戦線のひとつだということが理解できました。
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