日本の人口増加率は既にマイナスですが世界的には人口増加の一途であり、また新興国の経済成長は世界経済を牽引するほどの力強さ見せています。それらに伴い、食料不足や資源の争奪戦といった話題がニュースとしてよく取り上げられていることは周知のとおりです。また欧米の金融不安を背景とした金の価格の上昇も同様です。
本書は、そういった農産物や金属など実物資産であるコモディティ(商品)の投資についての数少ない指南書のひとつです。数ある投資先が不安定な中、中長期的にもおそらく安定した成績を狙えるであろう分野の本が少ないのは、不思議な気もしますが、これから雨後のタケノコのように出てくるであろう解説本のベンチマークとしておさえておくのも、悪くないかなと思います。
農産物の値上がりを例に商品価格が大きく変動している現状とその要因についての解説が本の導入部分となっており、コモディティ投資を紹介する背景までが、全体の約3分の1を占めています。できるだけ易しい言葉で、具体的内容に入るまでの下地を作ろうとする配慮がなされています。
その後、投資対象(金属、エネルギー、農産物)別の分類や解説、投資方法や投資商品の解説へと続いていきますが、ETNといった最新のものまで解説されており、かなり専門的で具体的投資商品の解説にまで及びます。さらにポートフォリオへの組み入れ、リスクを分散する組み合わせ、最終章ではコモディティに関する情報収集の方法から、分析方法まで話は及びます。
目次があっさりしすぎていることと、本のタイトルでもある「コモディティ」という言葉がまだメジャーになっていないことが少し残念な点ですが、コモディティ投資を始めようとする人には、教科書的な使い方ができるくらい、さまざまな情報が網羅されています。また、むやみにコモディティ投資を煽ろうとせず、理解してもらうことを一番の目的に考えた(と思えるような)作者の気持ちがうれしい本だと思います。