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現代のIT社会においてすら、なぜこのような事になってしまうのか。
情報をどのように共有し、マネージメントしていくのか、はホワイトカラーを自認する人であれば一度ならず考えた事があるテーマでしょう。
本書はそれらを、「コミュニティ」という小集団の活動により、解決をしようと提唱するものです。
コミュニティーとは何か、それを行うとどのようなメリットが組織に起こるのか、を本書は独自の視点と、実践を通し詳細に解説しています。
この手の本にありがちな、「理論だけ述べて、あとは勝手にどうぞ」的な知識のひけらかしではなく、「実践にあたり、先人達はどのような障害にぶつかり、それをどう克服してきたのか」についても事細かに解説している点に好感を持ちました。
データベースが唯一の情報共有手段だと考えている人は本書を読むと眼からウロコが落ちるかも知れません。
知識は金銭的資産や他の資源にくらべ、非常にダイナミックな性質をもつがゆえに、
そのマネジメントにも困難がつきまとう。
だが、組織が他の組織との競争力を高めようとすれば、
もはや知識のマネジメントを抜きには考えられない状況にきている。
これまでのナレッジ・マネジメントは主にIT部門主導で行なわれてきた。
莫大な資源をITシステムに費やしたが、出来上がった知識ベースは役立たないことが多かった。
最大の原因は情報と知識を混同したことによるものだった。
知識はスタティックな情報の集合ではない。
もし、ある人物が自分がたくさんの本を読んで膨大な医療知識を身に付けたから、
あなたに手術をしてあげると申し出たとしたら、あなたはその申し出を受け入れるだろうか。
多くの知識は実践を必要としている。
現場での実際の経験上、実践的に活用された知識がこそが生きた知識となりうる。
本書はそうした知識のダイナミックな面に着目した上で、
そうしたダイナミックで実践的な知識のマネジメントを可能にするシステムとしての「実践コミュニティ」を紹介している。
本書で紹介される「実践コミュニティ」は主に3つの特長をもっている。
それはまた
1共通の「知識領域」の共有によって組織され、
2この領域に関心をもつ人々の集まりである、基本的に自主参加型の「コミュニティ」という形態をとり、
3そして、最後の参加する人々がこの領域内で効果的に仕事をするために生み出す
共通の「実践」を有していることである。
ようするにコミュニティに参加する人々は、自分たちの業務上必要な知識の「領域」を共有して集まり、
「コミュニティ」内で知識の共有、文書化、検証などを行ないながら、
それぞれの業務における現場での知識の「実践」のなかで、
知識を実際に活用、練磨をしながら、また現場から得たものをコミュニティ内にフィードバックする。
組織の中で、業務部署やプロジェクト・チームなどに所属する個々人が、
部署やチームを超えて、共通の知識「領域」を求めて集まる「コミュニティ」の存在により、
「実践」に有効なダイナミックな知識の開発、育成、共有を実現しようとするものだ。
基本的にそれは個々人を媒介とした、部署やチームといった業務関連集合体と、
知識の共有、育成を目的としたコミュニティの二重構造を組織内に確立する試みである。
本書は、この実践コミュニティを中心とした、組織内のナレッジ・マネジメントの有効性を、
数多くの事例を紹介しながら説いている。
組織内に自主性を重んじたコミュニティをおくことで、
非管理的な知識のマネジメントを実現する手法を紹介している。
知識はそのダイナミックな性質上、文書などのスタティックなツールをその担い手にすることは完全にはできない。
ダイナミックな性質をもった知識を担うのは基本的に人間でしかありえない。
だが、その人間を単なる知識の保存庫としてマネジメントしようとするなら、その試みはうまくいかないだろう。
知識を得て、それを活用しようとする時、個人は基本的にみずからの好みや価値観に大きく依存するはずだ。
それを従来の管理型のマネジメントでしめつけ、コントロールしようとしてもうまくいくはずがない。
それゆえ、ここで描かれたのコミュニティのマネジメントによるナレッジ・マネジメントは
従来のマネジメントの考え方さえ大きく変えることになるだろう。
あるいは、もはやすべてのマネジメントは大きな意味でのナレッジ・マネジメントだといえるのかもしれない。
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