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83 人中、60人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
白書風コミュニティ論の展開、あるいは官僚の居酒屋談義,
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レビュー対象商品: コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書) (新書)
これは新書として書かれた「ぎょうせい」出版の白書である。さらに付け加えるとすれば、居酒屋談義的な「文明論」の要素もある。 本書の筋書きは、とても大雑把にいえば次のようになる すなわち、「社会」を公共(政府)、共同体=コミュニティ、私(企業、市場)に分割して考えると、 近年の日本は「公」から「私」へと転換した後の社会であり、現在では共同体ベースの「互酬性」を再評価しながら、公―私―共のバランスの取れた政策を展開していく必要がある。 そして、グローバル化の弊害を緩和するためにも、とくに共同体における「社会関係資本」の構築が喫緊の課題である。以上 末尾に「農耕社会」と「狩猟社会」の区別といった、若干トンデモ本のようなくだりも出てくるが、ここは筆が滑ったのだろう。本筋は上記の部分にある。 さて、このように本書は「何かを言っているようで」、実のところ「何も言っていない」。 行政の白書に書かれているような、大多数の人々が賛同できる建て前的文言をつなぎ合わせているようにも見えてしまう。 また、より専門的な見地から、本書の問題点を挙げるとすれば、次の二点がある。 1)本書は引用文献からも、論旨からも明らかなように、パットナムに代表されるような「コミュニタリアン(共同体主義者)」に近しい視点から書かれたものだが、既に多数提出されているコミュニタリアンへの批判や、リベラル/コミュニタリアン論争、あるいは政治学におけるダールなどの「コミュニティの権力」論争を全く踏まえない論旨展開をしており、これまで官僚や御用学者が立脚してきた、一方の立場のみしか紹介していない。 コミュニタリアンが悪いというわけではもちろんないが、片方の視点のみを自明の前提としていることは問題であり、これは良くて「一面的」、悪ければ「イデオローグ的」であるとの批判を免れないだろう。 実際にはより奥の深い問題が、これまで議論されてきたのであって、本書を読まれる方は、この点にはとくに留意していただきたい。 2)大筋としてはパットナムなどの提出してきた「社会関係資本」や「互酬性」の構築を再度提言するものであるが、パットナムらが展開してきたような綿密なデータ分析や、具体的な事例を十分に紹介できておらず、「文明論」的に大風呂敷を広げた議論に終始してしまっている。新書という体裁の限界を差し引いたとしても(しかし新書でも、きちんとした論理展開をした本は多くある)、一般に認められた「良い言葉」を並べた白書的な新書といった感は否めない。 かつての官僚が、どのようなことを考えているのかを知るための資料/史料としては有用であるので、星一つではなく二つをつけた。
9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
コミュニティ再構築の必要性を丁寧に説く良著,
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レビュー対象商品: コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書) (新書)
本書は、コミュニティの再構築の意義を経済学的、社会学的見地から論じるものです。昔は当たり前に存在していたコミュニティが、工業化に端を発す「経済成長至上主義」の中で崩壊したものの、今後は経済成長の頭打ちと価値観の多様化の中で改めてコミュニティの構築が必要となる、というのが論旨です。「なぜコミュニティの構築が必要か」という点について丁寧かつ整理されて論じられている点は非常に評価できます。特に、「グローバル化・国・地域」と「市場・公・共」との相関をマトリックスで整理する手法は秀逸と感じました。この部分は一読の価値ありです。一方で、後半は哲学的な議論に終始し、「では具体的にどのようにコミュニティを構築していくのか」という処方箋の部分が欠けている点には若干のもの足りなさを感じました。今後、本書の続編として「処方箋」の部分を深堀した書籍が出ることを期待したいと思います。
5つ星のうち 5.0
つながりは強要されるものではなく、在るもの。べたべたした蜘蛛の巣であってはならない,
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レビュー対象商品: コミュニティを問いなおす―つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書) (新書)
コミュニティやつながりは強要されるものではなく、在るもの。べたべたした蜘蛛の巣のようなコミュニティであってはならない。 「神社・寺」などの宗教施設は「あちらの世界」「死者の世界」との接点であり、 「学校」は、新しい知識という外の世界との接点であり、 「商店街」は、交易の中心としての他の共同体との接点であり、 「自然」は文字通り、人間にとっての「外の世界」との接点である。 「福祉・医療関連施設」は病や障害という非日常との接点である。 と、分析すると途端にコミュニティというものが七面倒臭いものになってしまう。 それがコミュニティの難点だ。
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