まず、この本では「コミュニティ」を非常に広義の意味で扱っている(「地域社会」と言い換えるべきかもしれない。それも結構広め)ので、一般的なコミュニティ論を求めてこの本を読むと戸惑うかも。しかし多少求めていたものとずれていたとしても(実は自分もそうだったのだが)、きっちり最後まで読んでみることをオススメしたい。
前半では現状の日本を取り巻く様々な問題を挙げ、その背景を冷静に分析しつつ、その中で地域社会がどうあるべきかを大まかに説いている。筆者がもともと経済・社会分析を専門としているからか、同種の本に比べて非常に論理的に感じた。
後半では前半を踏まえて筆者自身が関わった様々な事例を紹介し、今後の課題についても探っている。少し事例紹介がくどい感もあるが、事例の理論的なバックボーンまでしっかりと解説されているのでわかりやすく、参考にもしやすいと思う。
成功例をただ押し付ける同種の本とは違い、前半で理論を学び、後半でそれをふまえた事例を知るという構造になっているので、非常に読みやすかった。「これをやれば何でも解決」という明確な答えが提示されているわけではない(もちろん、そんな魔法みたいものは存在しないのだろうとは思う)が、政策担当者やNPOの人間、あるいは商店街のおじさんおばさんにとっても、地域社会の課題解決を模索するための「ヒント集」として本書を読んでみる価値は非常に高いと思う。