洒落の利いた言語実験で、スタイルが物語の重要な要素である事を改めて示してくれた、レーモン・クノーの「文体練習」―。
本書はそれにコミックで挑戦したというのだから、購入せずにはいられまい。
作者は“ウバポ”(奇妙な規則を設定する事によってマンガ表現の可能性を探るグループ)の一員というだけあって、
本家に負けない独自の発想を、漫画ならではの手法で見事に表現している。
その引き出しの多さに感心するのはもちろんなのだが、
時に暴走と言ってもいいほど大胆な発想で語られる作品もあって、バカバカしさや皮肉についつい笑ってしまう。
平凡なストーリーが様々に変化し、違った色を見せてくれるのは、こんなにも気持ちのいいものなのか、と思う。
本家と合わせて言語と視覚での表現の違いを比べてみるのも面白いだろう。