怪談専門誌「幽」に掲載された漫画作品を、まとめて収録したものです。全て6〜17頁の短めの作品で、全336頁。現在2巻まで刊行中。自分は「コミック幽 2」が気に入ったので、遡ってこちらも買いました。☆の数はあくまで、諸星大二郎、高橋葉介、花輪和一ファン目線のものです。
諸星作品は、とある家族の父と息子を中心に据えた一話完結型の連作です。我々のすぐ隣に潜む、現実と地続きの異界を描き出した、諸星ワールド以外の何物でもない作品。質も高いです。先生はホラー系のショート・ショートって意外と描かれてないので、「幽」のシリーズってけっこう貴重なのかも。
高橋作品は相変わらずキレがいいです。全6本中3本(「陰陽」「森を駆ける」「心霊写真」)がサイレント。また絵柄は、それぞれの作品に合わせて使い分けられています。「陰陽」と「紅い蝶」はイメージ重視の、美しく官能的な幻想作品。「心霊写真」はなかなか珍しい試みの、奇妙な作品です。
花輪作品は、「柿」以外は全て平安怪奇ものです。「みそぎ虫」の“みそぎ虫”とは巨大な芋虫のようであり、どこか男根のようでもあります。とても不気味な名作です。心の闇が凝り固まった“影”を背負う女の話「迷路」も怖い。「柿」は友人に聴いた実話だという怪異譚、「魂魄」はしみじみとした味わいがあります。尋常ではない描き込みも健在。
2と比べると詰め込み過ぎて対象が絞れてない気はするが、諸星・高橋・花輪ファンでどうしようか迷ってる人には、おすすめしたい本です。
諸星大二郎「ことろの森」「あもくん」「呼び声」「ドアを閉める」「猫ドア」
高橋葉介「陰陽(16頁)」「紅い蝶(16頁)」「ふらんそわ(16頁)」「蛇女の絵」「森を駆ける(白雪姫より)」「心霊写真」
花輪和一「柿」「魂魄」「浸水」「みそぎ虫」「迷路」「祟り」
押切蓮介「赤い家」「黄泉の風」「暗い玄関」
五十嵐大介「背中の児」「しらんぷり」
中山昌亮「呼んでる?」
一部を除き各6〜8頁
秋山亜由子「安芸之介の夢(小泉八雲、怪談より・16頁)」
波津彬子「幽霊、恩を謝する事(耳袋より・8頁)」「化鳥(泉鏡花原作・17頁)」
魔夜峰央「トランシルバニアの化け猫(16頁)」
伊藤三巳華「憑々草(つれづれぐさ)」(霊体験エッセイ漫画・全6話・各12頁)
大田垣晴子「あたなが怪」(漫画風エッセイ・全6話・各6頁)