第1巻で早希が入学したと思ったら、続く第2巻で半年くらい過ぎて早苗先輩の大学祭、そして本巻ではさらに半年ほど進んで良平くん卒業と進行が早いなぁ、と訝しんでいたら完結だった。最後まで『コピーフェイス』というテーマに即した物語の上に良平と早希の2人にもようやく春が訪れた上手な完結編である。
今回は良平の友人【明石明】とその彼女【樹樹里】との卒業旅行。旅先では明石達と良平達のペアが対比として表現されていく。いわゆる体育会系と文化系、行動派と慎重派、肯定的と否定的、感情と理論などで、直情的な、つまりおバカな行為の連続に見える明石達に呆れと反感を抱きながらほんの少しばかりの羨望もあるようなないような複雑な心境を垣間見せている。ただ、フツーに考えれば明石達の方が若者らしく、ここにはマジョリティに対するマイノリティの斜に構えた見方の1つが表現されているのかもしれない。そして、ここにきて早苗先輩からのまさかの告白という事態が勃発するのだが、これが若いのに何だか達観しているような理屈を感じてイマイチ腑に落ちない。「なんか違う」という感じ。ただ、ここまでの展開には自分にも思い当たるフシがあったりするので何とも複雑。う〜ん、このままでは……なんて思っていたら後半にそれを覆す展開が待っていた。続く早希の告白とその後の顛末はいかにもなドラマ展開ながら明石達にも良平の親戚達も相応に出番のある好展開を迎え、最後の最後に良平の答えが用意される結末を迎える。やっぱり恋は理屈抜きで真っ直ぐ進まなくちゃネ、というハッピーエンドと言えよう。単なるラヴコメならばこの後の物語も紡げられるのだろうが『コピーフェイス』という設定のためにこれにて終了、という気がして残念である。作者の新シリーズに期待しよう。その時はもう少しストレートで小難しい理屈抜きな物語をお願いしたい。