有史以前の力と魔術が世界を支配する時代。小さな村に住む刀剣
作りの父(ウィリアム・スミス)を持つコナン少年の平和な日常は、タ
ルサ・ドゥーム(ジェームズ・アール・ジョーンズ)という男率いる一団
が村を襲撃してきたことで一変する。父と母を殺され、捕まったコナ
ンは、製粉工場へ送られ、十数年もの労働に酷使される。いつしか
逞しい肉体を持った青年に成長したコナンは、剣闘士として名をあ
げて行き、ついに自由の身となる。それを機に、父と母を無残に殺
したタルサ・ドゥームへの復讐を誓い、旅に出る…。
1930年代に、ロバート・E・ハワードが『英雄コナン』シリーズで創作
したキャラクター、コナン。それを基に、オリヴァー・ストーンが脚本を
書き、無骨で男臭い作品を得意とするジョン・ミリアスが監督した神
話的英雄伝の秀作だ。数人の監督(リドリー・スコットなど)へのオファ
ーが断られた後に、お鉢が回ってきたということが嘘のように、ミリ
アス向きの題材と言えるだろう。黒澤作品の信奉者である彼らしく、
ミリアス版サムライ映画といった趣が実に愉しく、面白い。
ミリアスの演出は、余計な装飾を排し、無骨で悠揚迫らぬもの。その
余裕の語り口が、作品に深く広い、荘厳な雰囲気を醸成している。演
出に加え、ロン・コッブによるスケール感ある素晴らしい美術、まるで、
コナンの荒ぶる魂と猛る血潮から生まれたかのような、バジル・ポー
ルドゥリスの音楽も作品世界をより豊かにしていることは言うまでもな
いだろう。
そして、もちろん主演のアーノルド・シュワルツェネッガーの圧倒的存
在感。本格的な初主演ということで、演技も表情も硬い(英語も訛って
いる)が、その硬さが、かえって、コナンという、ストイックで、力しか信
用しない男の高貴さと美しさを出すことに成功している。その姿は、剣
の道を究めることにしか興味のない、『七人の侍』の宮口精二を彷彿と
させるほどだ。彼をサポートする、スレンダーな女盗賊のサンダール・
バーグマン、道化的な呪術師のマコ、盗賊ジェリー・ロペスも、それぞ
れが印象的なキャラクターで、無骨な作風の本作に、ちょっとした息抜
き的瞬間を添えている。
本DVDは、82年の作品にもかかわらず、(若干の傷はあるものの)素晴
らしい画質。音声も同様に良好だ。特典は、関係者のインタビューが含
まれたメイキング、キャラクターのコンセプト・アートなど盛りだくさん。監
督ミリアスと主演シュワルツェネッガーによるコメンタリーも終始和やか
で、二人の掛け合いからは、当時の撮影が大変ながらも実に楽しかっ
たことが、観る側にも伝わってくる。