こちらをご覧の方は、もうすでにフィリップ・コトラーが誰で、『マーケティング・マネジメント』という書物がどのような本かは十分にご存じのことかと思います。
本書『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』は、今までフィリップ・コトラー氏が改訂を続けてきた『マーケティング・マネジメント』に初めて共著として、ケビン・レーン・ケラー氏が参加したものです。
ケビン・レーン・ケラー氏は、ダートマス大学タック経営大学院の教授で、日本では『戦略的ブランド・マネジメント』『ケラーの戦略的ブランディング』(共に東急エージェンシー)などの著作が出ています。『戦略的ブランド・マネジメント』は、ブランド・エクイティの構築・測定・管理など、ブランドについて幅広く、深く、あらゆることが網羅され、体系化された書物であり、本書を監修された恩蔵直人氏が翻訳されているものです。ちなみに私は同書の冒頭25Pの「ブランディングはロケット科学ではない」という見出しが好きなのですが、本文を村上春樹風に翻訳して欲しかった。なお、『ケラーの戦略的ブランディング』のほうは、『戦略的ブランド・マネジメント』の第2版のうち、主要な部分のみが抜粋されて翻訳されたものであるため、しっかり読みたいという方には、2冊揃えて購読されることをおすすめします。
さて、『マーケティング・マネジメント』ですが、私の書棚には、第7版とミレニアム版と呼ばれている第10版、そしてこの第12版の3冊があります。日本語版としては、このほかに初版と3版が翻訳されています。第7版から第10版への変更では、サイズがふた回りほど大きくなり、組が縦組みから横組みに変更。監修も慶応大学の村田昭治教授から早稲田大学の恩蔵直人教授へとバトンタッチされ、大幅なイメージチェンジがありました。
この第12版では、サイズはほぼ同じで、監修も引き続き早稲田大学の恩蔵直人教授ですが全ページカラーとなったことで、中で紹介される広告クリエイティブなどがグラフィカルになり、翻訳もさらに判りやすくなりました。カラーの広告とそのキャプションが加わっただけで、事例がグッと楽しく読めるようになったから不思議。ケビン・レーン・ケラー氏が参加したことで、第9章「ブランド・エクイティの創出」が加えられ、第10章「ブランド・ポジショニングの設定」もブランド視点が強化されています。
現代のマーケティングは、ブランドへの配慮なくして成功の果実を得ることができないのは間違いなく、その意味では共著者として、ケビン・レーン・ケラー氏が加わったのはとても心強いと思います。
新たな事例も加えられたので、これを機会に読み直されるのもよいかと思います。
マーケティングを勉強する方、仕事でマーケティングに携わるすべての方におすすめです。
一見分厚くて堅そうだけれど、まずは軽い気持ちで読み始めてみてはいかがですか。