「人間の一生はたくさんの哀しみや苦しみに彩られながらも、その哀しみや苦しみの彩りによってさえ人間は救われ癒されるのだという、私の生きることへの想いや信念がおのずと滲み出ているように思う。」(あとがき)
本書での著者の主張は、この言葉に要約されるでしょう。
本書の物語は、決して明るい話ではありません。気になる人、親しい人、愛する人が、様々な事情によって、自分から離れてしまう、それを哀しく、苦しく思う、そんなお話です。
にもかかわらず、確かに、読み終わった後、何か、温かいものが、胸に残りました。
どんな世の中になっても、人は人とつながっていたい、人を想っていたい、そのような、人と人とがつながろうとするときに発せられる暖かさが、本書のどのお話からも感じられるからでしょう。
いい本でした。これからもときどき読み返そうと思います。