狭義の「コスプレ」ではなく、むしろ各種の「スタイル」を「装う」人々の実態とその社会的意味を、複数の執筆者がそれぞれの趣味やフィールドに基づき問うた論集である。社会に生きる人間は、「裸」の存在ではなく、常に何かを身につけ身にまとうことで特定のジャンルの人間となる。本書では、そのうち特に「目立つ」ジャンルの人種が取り上げられているといってよい。アニメキャラやビジュアル系のコスプレ、女装、タトゥー、民族衣装、変形制服、ストリートの○○族と、「サブカルチャー」のまさに「サブ」の部分を体現したマイナー文化圏の男女らが登場し、自分たちのこだわりや屈託を示してくれるわけだ。
全体的に、アイデンティティ論に収斂しがちな論調にはやや飽き飽きしたし、また「好きだからやっている」だけに思われる文化実践を、実は既存の社会的価値観に対する「抵抗」なんだと言いたがる論者のカルスタ的欲望にもしばしば興ざめしたが、しかし、個々の事例そのものはいずれもすこぶる面白い。この種のテーマは昨今の学生の人気卒論テーマだろうから、学生にせよ大学教職者にせよ非常に参考になる図書だろうと確信する。