本書の良いところは、ゲームシナリオという分野を
現場レベルの実践的な視点から解説した、
ありそうでなかったタイプの本だということです。
こういう本があまり出てこなかったのは、
ゲームシナリオの仕事だけで食っている人間が、
業界内にさえほとんどいないことが原因だと思いますが、
昨今のゲームのほとんどはストーリーが必須要素と
なってきているので、こういう本が出てきたこと自体は
非常に良いことだと思います。
大雑把にまとめると、本書の内容は以下の2点に尽きます。
1.シナリオ制作の基礎(起承転結の作り方)
2.ゲームにおけるシナリオの組み込み方
(一例を踏まえた基礎的な方法論)
この内容に興味を持つ方なら買って損はないでしょう。
ゲーム開発者を目指す人や、
シナリオ制作への理解を深めたいゲーム開発者にとって、
入門書として一読の価値がある内容だと思います。
良書であることを踏まえて、不満点として一点あげたいのは、
「ドラクエ」に代表されるRPGというジャンルに
限定した制作方法論しか教えていない点。
RPGはストーリー性が高いので教材になりやすいのは確かです。
しかし、ゲームにおけるシナリオとは、アドベンチャー、アクション、
シミュレーションなど…ジャンルにより器や文法が大きく変わる、
非常にフレキシブルものです。
「RPGシナリオ」ではなく「ゲームシナリオ」と銘打つからには、
その不定形性も踏まえて、RPGに限らない広範なジャンルに
対する解説もされるべきだったと思います。