海外で出版されている「Game Engine Architecture」の翻訳本です。
最近はゲームを効率よく開発するために自社製または他社製のゲームエンジンを使用するところが増えてきています。
ゲームエンジンはいろいろな機能を簡単に使用するためのライブラリ的なものですがライブラリと大きく異なるのは、自作プログラムが主でライブラリは部品という役割ですが、ゲームエンジンはその逆でゲームエンジンが主でそれに自作の部品を組み込んでいくという点です。
そのため、ゲームの核になる部分は既に出来上がっているので開発工数が少なくなりプログラミングの負荷を下げることができる、つまりプログラミングよりゲームデザインの方に工数をかけることができるため、最近ではこの開発方法が主流となってきています。
本書ではゲームエンジンの具体的な実装ではなく、あくまで概要レベルの技術書であり、この本のみでゲームエンジンを作成することはできません。
実装するためには、関連書籍もあわせて読む必要があるでしょう。
ただゲームエンジンが持つべき機能についてはほぼ網羅されており、その実装の足がかりにはなると思います。
本書の内容としては初心者向きではありません。
少なくとも何らかのゲーム開発の経験があり、今ゲームエンジンを必要としている人が対象です。
ただ、ゲームエンジンを使用したいのであれば完成度の高いオープンソースのゲームエンジンも多数あり、本書よりもそれらの資料をあたった方が良いと思います。
本書はあくまで自分用のゲームエンジンを欲している人が、実装するための最初の1歩として読むための本です。
本書を読んでゲーム開発が楽になると幻想を抱いている人は、その期待を裏切られるでしょう。
さて翻訳本としての評価ですが、原書自体はゲームエンジン概要本としては貴重であるため内容については申し分ありません。
ただ翻訳についてはこなれていない、誤訳・誤植の部分が見受けられますが、多少の校正ミスがあっても最速で出版して頂けたことは評価に値すると思います。
また価格についても原著とほぼ変わらない価格であり、入手しやすい点も評価できます。
翻訳本については完璧な翻訳を求める人が多く、誤訳があるだけで原書を読んだ方がマシと極端な評価をされる方がいますが、校正の工数と価格のバランス、出版までの早さを考えれば十分であると思います。
完璧な翻訳を求めれば求めるほど工数は増加し、その結果価格も上がり、出版時期も遅くなるということを理解されていないと思います。
そういった点を考慮すれば、本書が十分に及第点であることは理解できるはずです。
結論としては、本書は今ゲームエンジンを自作したいという人にはうってつけの内容であり、また日本語で読める本では非常に貴重な内容であるため、評価としては最大の☆5つです。
買って損はないと思います。