やり手の広告代理店プランナーが、仕事上で屈辱を味わわされた大手自動車メーカー副社長への復讐を思いつく。仕事も恋愛も人生はすべてゲーム、それに勝ち抜くことがすべてと信じるエリートのプライドが、物語の重要な背景となっている。そこに家出中の副社長の娘が絡み、ラブストーリー的な要素も加わっていく。おのおのの思惑が思わぬ方向に事態を変化させていくあたりは、稀代のストーリーテラーとしての著者の面目躍如だ。
こうした事件ものでは、複数の視点から立体的に描写をしていく手法が一般的だが、本作では一貫して主人公の視点からの著述となっている構成もユニークだ。読者にも、復讐相手の出方、警察の捜査などの状況はなかなか明確になってこない。これがサスペンス的で緊迫した雰囲気をいっそう盛り上げている。自信満々で鼻持ちならない登場人物のキャラクターをあえて強調するあたりも著者の計算どおりで、それだけにラストのどんでん返しが印象に残る。(松田尚之) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
もう一つの完全犯罪は?,
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レビュー対象商品: ゲームの名は誘拐 (光文社文庫) (文庫)
これは、「誘拐もの」と言うより、人質と犯人がグルになっているから「狂言誘拐もの」の一種と言うべきだろうが、その範囲ではすごく面白い小説。読み始めたら、途中ではやめられない。
完全に犯人側の視点だけで描かれ、警察が動いているかどうかもわからない。そんな状況で、敏腕広告プランナーでもある犯人の佐久間は、警察の動きを予想し、先手を打って完璧な計画を立てて実行していく。 いわば、佐久間の頭の中の警察と、佐久間自身の知恵比べとでも言える展開になっているのが、斬新な設定と言えるし、ページをめくる手が止まらない理由でもある。もちろん、相手は人質の父親でもあるけれど。 作者の東野圭吾は、善人が出てこない物語を作りたかった、と言っているそうだが、そういう悪人だけの犯罪小説として成功していると思う。 また、人質の「樹理」が魅力的。彼女も一種の悪女だけれど、小悪魔という感じで、その言動にはドキドキする。彼女が人質でなければ、この作品は娯楽作として成功しなかっただろう。 しかし、「完全犯罪」の誘拐事件の裏側で、同時進行していた、「もう一つの完全犯罪」が結局どうなったのか、決着がついていない点は納得いかない。善人がいない小説が狙いなのだから、犯人が逮捕されるとかいう、「社会的な決着」は必要ないだろうけど、物語としての、何らかの決着はつけてほしかった。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
贅沢なひまつぶし,
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レビュー対象商品: ゲームの名は誘拐 (単行本)
主人公は広告代理店の花形プロデューサー。自分の知力・体力に絶対的な自信を持っている。そんな彼の企画を全否定したクライアントの専務に「ゲーム」を挑む。きっかけは家出した専務の令嬢を偶然拾ったこと。彼女を駒に誘拐ゲームを挑む。彼女がどうやって共犯者となるのか。この狂言誘拐をどう締めくくるのか。そしてどうやって身代金を無事獲得するのか・・・ ★この本の楽しみは、最後のからくりを知った後、前半に周到に張り巡らされたトリックを読み返してみることにあります。★ 私は彼の作品は「秘密」から入ってしまったので、ついつい同様の読後感と感動を求めてしまいます!。その意味ではこの作品は「実によく出来たトリック小説」にとどまっていますが、『本をめくっている間は興奮と知的刺激の連続である』ことはお約束できます。 ●別の楽しみ方としては映画を見る前に。「仲間由紀恵と藤木直人が主人公である」ということだけ頭にインプットして読んでみると、びっくりする位映像が勝手に浮かんできますよ。
13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
斬新,
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レビュー対象商品: ゲームの名は誘拐 (単行本)
03年11月に「g@me」という名で映画化される作品の原作。偶然、知り合った男女が狂言誘拐を企てるストーリーだが、ゲームの名の元に、それぞれの思惑が交錯しながら、事態は二転三転と。そして最後には驚くべき仕掛けが・・・!? この物語は誘拐モノにありがちな被害者側からの視点ではなく、相手の動向を見つつも一瞬たりとも気が抜けない犯人側からの視点で書かれています。1つ1つの行動をチェックする犯人の姿を想像すると、読んでいる人も興奮するはずです。特に、解決編にはとてつもないトリックが隠されているので衝撃を受けるコト間違いなし!! 全体的に、長くもなく短くもなくでとても読みやすいです。それにしても、東野圭吾氏の作品はとてもクオリティーが高い!!
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