上智大学教授による書。囚人のジレンマやナッシュ均衡、パレート原理などを、社会における例を挙げて説明している。200ページを6章で説明し、最終章では能力を見るための問題が16問用意されている。高校生以上が対象と思われるが、語句自体はさほど難しいわけではなく、数日で読破可能な内容。
多岐におよぶ内容は他の書と比較しても優れていて評価に値するが、説明の文章はうまいとは思えない。複数のプレーヤーの利得を長々と文章で記している部分などは非常に読みづらいし、例示の文章も理解するためには適切とは思えなかった。数学が社会でどのように利用されているかという例示は、簡潔に示さなければわかりづらくなるのにもかかわらず、太平洋戦争での戦略や地図、パーレビー元国王の記者会見などの例は冗長で要点がわかりづらい。また、問題文の登場人物の名前を木常(キツネ)や田貫(タヌキ)などとすることに意味を感じない(わかりやすくするなら別の部分で簡略化できるところがたくさんある)。説明不足の用語もあるほか、図もわかりづらいものや記載の不備とおもわれる部分(グラフの軸の意味が記載されていなかったり、地図に標記されるべきXYの記号がないなど)も見られる。最後の問題についても、それまでの理解度を試すための問題かと思いきや全くそうではなく、むしろアンケートとその解説といった内容である。
紹介されている項目は多いが、個々の説明についてはややバランスを欠いているような気がした。初心者であれば『ゲーム理論トレーニング』の方がわかりやすいし、大浦宏邦氏や泰中啓一氏の説明や例示の方がわかりやすく面白い。上記問題を考慮して星3つの評価まで。初心者は他の書でウォーミングアップしてから挑戦したほうがいい。