ハーバードのロースクールを出て、M&A弁護士として活躍する著書による交渉の入門書。日清・日露戦争の外交の話が例として数多く出てくることの好き好きはあると思うが(私は大好き)、日ごろ漠然と取り組んでいる人とのコミュニケーション(=交渉)のやり方を変えるきっかけになるかもしれない。後半部分ではゲーム理論を用いてパターンごとに交渉を分類しているのだが、情報に当方、相手方で差のある現実世界ではどのパターンに該当するかを識別するのが最も困難だと感じた。その意味で、ゲーム理論のみに依拠せず、共通利益の達成、スタンダードの活用といった点に重点を置く類書のほうがマニュアルとしては活用できると思う。本書は読み物としてはとても面白い。