本書(p198,199)でゲーデルのカントへの言及が日本語で確認できる。
それはカントの分析的なるものの定義をめぐって、
『可感界と可想界の形式と原理』、『プロレゴメナ#2a』、『論理学#36,37』
を参照したもので、ゲーデルがカントをよく読んでいたことがわかる。
ゲーデルは数学が総合的判断だとするカントに同意しているようだ。
それは分析的なものをつきつめることでその限界に到るゲーデルの戦略と相通じるものがあるということだろう。
ゲーデルはプラトン的実在論者を自称するほどだからカントとは相性が悪いようにも思えるが、先験的統覚を主観的に捉えるカントの観念論は容認している(創造と制限という言葉をゲーデルは使っているが、カントの批判哲学は制限の側にあたるp170)。ゲーデルの実在論は観念論とではなく唯名論と対立するので、普遍論争の解釈のあり方を再検証する上でも有意義だということがわかる。
ゲーデルがカントへ言及した他の未翻訳の論考も翻訳が待たれる。