私はこの本を20年前に読み、
こんなすばらしい本が存在しえるのか!と
たいへんに強い衝撃を受けましましたが、
最近もう一度読み返してみました。
まずホフスタッターは、「この分は誤りである」という
有名なエピメニデスのパラドクスの
自己言及性からくる矛盾について説明します。
その後、形式システムとはどのようなものかを
簡単な例をあげて読者にわかりやすく説明し、
その実例について考えます。
ついで、それは数論でもおなじであることを示し、
ゲーデルの不完全性定理を納得させます。
ホフスタッターの主観では、バッハのカノンの主題の再帰性、
またエッシャーの絵に描かれるもつれた階層性についても
ゲーデルの定理と審美的に絡み合っているのです。
全編を通じて登場する、蟹とアキレス、アリクイなどの対話劇が
本書の芸術性を一層高めています。
特に対話劇「蟹のカノン」は、バッハのカノンを言語的に再構成したもので、
本書のなかでも特に美しいものです。
その後知性の本質について、またAI論について、
また意識の問題について、自己言及の立場から論じます。
なお、ホフスタッターはこの著作の後、
この意識の自己言及性の立場から
「Minds’ I」 や「I am a strange Loop」 などを書いています。
この点、無理に本書に難癖をつけるなら、
著者は人間知性が特殊だとは主張していないのですが、
AIの限界も強調するため、どっちの立場なのかあいまいな点でしょう。
この本を読まずしても、ゲーデルの定理を語ることは可能ですが、
それはゲーデルの定理を理解する人にとって、
たいへんもったいないことだと思います。
本書は哲学に興味のあるすべての現代人の必読書といえるでしょう。