ゲーテ。敷居が高いと思ってたけど、意外や意外、読みやすい本でした。
なにせ訳文がスポーツ雑誌のインタビュー記事と同じノリ。ヨーロッパのサッカー監督がお気に入りのインタビュアー相手に持論を展開するように、エッカーマン相手に、文学をはじめとする芸術論、動植物についての観察の成果、科学の方法論、回顧録的体験談や人物評、文明論、などを気持ちよさげに語ります。
しかもゲーテ、言葉がシンプル。もったいぶった言い方や難解な言葉使いはなし(オシムの言葉の方がよほど難しい、、、)。おそらくゲーテにとって「分かりやすさ」は美徳、というか義務に近いものだったのでは。すくなくとも本書に関しては教育者的スタンスです。なので読む人はそれぞれ自分なりに理解し味わえると思います。
自分が読んだ印象では、ゲーテは自由とシンプルを愛してやまなかった人。興味対象は広範に渡り、それぞれの分野で技術的には複雑さ、高度さを自家薬籠中のものとしているのだろうけど、その基本態度はぶれない感じ。自由とシンプルから遠いものには手厳しい(ついついそのまま現代についての批評としても読みたくなります)。
ところで凡例によれば、本書上巻は1823−1827年、中巻は1828−1832年の対話が収められています。この下巻は1822−1832年とあるから、補遺的な内容なのかな。
自分は上中巻は未読。年譜と解説が付いているので下巻から手に取りました。気ままに好きなページを開いて楽しめるタイプの本なので構わんだろうと思ったのだけど、残念ながら下巻には著者エッカーマンについての情報がなし。他のレビューによれば上巻に彼についての記述があるようです。対話内容からゲーテを尊敬する真面目な青年ってことは分かるんだけど、エッカーマンについてもっと知りたいところです。