この本の著者は、良い意味での常識人・普通人なんだと思う。
「デモに参加するのは、革命のことを本気で考えていたからではなく、
非日常的な、お祭りの日みたいで楽しかったから」と述べている。
著者はやがて、なりゆきから赤軍派へ参加するが、
アジトでの仕事は、事務所での電話番。
当時の学生運動の革命家のように、
哲学や文学や共産主義の本を読んだり、討論なんか全くやらず
他の落ちこぼれ仲間と麻雀ばかりやって遊んでいた。
当時の赤軍派のリーダーだった森さんから、
「自分の直属の部下になれば、組織の中で、もっと出世できるぞ」と誘われた時も、
幹部の青砥から「山で軍事訓練をやりにいかないか」と誘われたときも、
「めんどくさいから、いまのままで良いです。いきたくありません」と、しっかり断っている。
その後、ビルのトイレ掃除のアルバイト先で、あさま山荘の銃撃戦をテレビ中継で見ることになるが、
「あいつら、まだ、こんなことやっていたのか?!」と驚き、
山での総括リンチを知って、革命ごっこから足を洗うことを決心した。
いわゆる、フツーの人の学生運動回顧録なんじゃないかと思う。
著者は「へたれ」でもなく、「普通の感覚を持った、普通の人」ですよ。
うっかり「山」なんかに行っていたら、いいかげんな自分は、真っ先に「総括」されて、
この世にいないだろう、ガクガクブルブル。のくだりは、普通人の多くの読者の共感するところだと思う。