本書は、2007年2月に放送されたNHK・BSハイビジョンのドキュメンタリー、『チェ・ゲバラ 遥かな旅』を基にして書かれているので、TVチックな筆の流れになっているように感じた。
著者には、同名の書籍もあり、TVと合わせてのりライト+フィデル、ゲバラの2番目の妻・アレイダなどの本からの引用もあり、本書は書き辛い仕事ではなかったろう。
死の瞬間も、実際に射殺したボリビア軍兵士に取材したレヒナルド=ウスタリス=アルセのレポートを引用している。
だがそこに辿り着くまでの、イゲラ村にて捕虜となったゲバラに最期の食事を運んだ元小学校教師フリア=コルテスとのバージェ=グランデでの出会い、コチャバンバ飛行場で見つけたレヒナルド著の『チューロ渓谷の戦闘とチェの暗殺』、南米一周中、偶然アルゼンチンからブラジルへの国境へ向かう途中で見つけたゲバラの生家と、「欲せよ、されば与えられん」ではないが、ゲバラに関する書籍を何冊も上梓し、旅を続ける作家としての著者だからこその邂逅が羨ましくもある。
特筆すべき内容としては、イゲラ村周辺を巡回する医師であり、地元新聞社の通信員であったレヒナルドによる、殺された直後ヘリコプターと救急車で運ばれ1時間後公開された、バージェ=グランデ市内のセニョール=デ=マルタ病院・中庭洗濯場での死体の様子の証言がある。
この証言により、ブラジルや欧州の新聞が、ボリビア政府による「戦闘で死亡した」との発表の嘘を、発信するに至ったのだ。
また、キューバ革命から参加し、ボリビアでの闘いを生き延びたハリー=ビジェーガス=タマヨの証言も、生のゲリラ戦を伝えてくれる。
何より、ゲバラに心酔する読者が勇気付けられるのは、ゲバラと共に歩んだ、今や70〜80代となった仲間や部下たちが、著者の「もし、チェが今も生きていて、次の旅にあなたを誘ったらどうしますか?」の問いに、誰もが間髪入れず当たり前のような顔で「もちろん一緒に行くさ」と、目を輝かせて答えた、とのくだりだろう。