その一方で、ゲノム解読以後、巻き返しの切り札として「たんぱく3000プロジェクト」を紹介し、さらに「次世代を担う異能」としてタカラバイオの加藤郁之進社長や、大阪大学からベンチャー企業を立ち上げた森下竜一教授などの活躍にもふれている。
著者の取材努力には好感が持てるが、6%にこだわり、「敗北」と断定する必要性が今ひとつはっきりしない。刺激的な文字で読者を引きつけながら、日本のバイオをレビューする狙いなのかもしれない。
(日経バイオビジネス 2005/01/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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1980年末から90年代、人間の遺伝子解読に世界中が競って挑んだ。なかでも日本の和田昭允氏は群を抜いた先見性の持ち主で、欧米の5年先をいく独創的なアイディア=遺伝子の自動解読装置を発案した。しかし、役所の縄張り争いに巻き込まれてモタモタしているうちに欧米に追いつき追い越されてしまう。
「日本人に独創性がないのではなく、日本という国に独創性の芽を摘んでしまう風土がある」とは、和田氏の思いが詰まった言葉ではあるが、しかし、それを額面どおり受け取って、「だから日本の文化は・・・」とか「だから官僚は・・・」というふうに、本書を反省や批判の材料にしてしまうのはもったいない。
むしろ、和田昭允というひとりの大天才が世界を相手に戦って負けた、その物語を研究者たちの冒険の物語と捉え、そのかっこよさに痺れるのが正しい読み方であると思う。
著者の岸宣仁氏の作品は初めて読んだが、真に迫る筆致で大変な臨場感があり、テレビのドキュメンタリー番組を見るより遥かに面白い。お勧めの一冊である。
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