いよいよ「アースシー三部作」(作者の表現による「ゲド戦記」)も最終章となり、ゲドは「大賢人」になっています。そんな彼の元に各地から異常の訴えが届きます。この異常の原因を突き止め、それを打破するためにアレンと共に、さいはての地への冒険に出かけます。
前二作に比べなお一層作者の二元論的な哲学が強く打ち出されています。「生」は「死」があってこそその輝きを増し、表裏一体の関係にあるとします。「この世ではふたつのもの、相対立するふたつのものがひとつのものを作りあげているのだ。」この二つの境界線が曖昧になり、或いは、綻びが出来たことにより、世の中の異常な現象が起きているのだという結論に至り、その綻びを取り繕うための努力が始まります。
こうした哲学的なものを含んだ内容が、「指輪物語」のファンタジーとは違った世界を作り出しており、アダルト・ファンタジーとしての意味合いを強くしていると思います。