この本の魅力を伝えたくて、どう言えばいいか悩みながら書いていたら3回も文章を最初から書き直していた。
私の文章構成能力と情報伝達能力がどうしようもなく乏しいことに気づかされた。
「とりあえず、読んで!」と言いたい。と言っても、普通は読まないだろうから、統合されたこの本の魅力を分裂させて書いてみる。
この本は、「理論の説明」と「事例」に大別されている。
さらに「事例」は、ドリーム・ワークセミナーと集中ワークショップに分かれている。
この本の中心・核は「事例」だ。
ドリーム・ワークセミナーには27人のケース、集中ワークショップには8人のケースがある。
全て、パールズがセラピストとして担当している。
彼のセラピストの力量は最初の事例から「天才だ」と思えるほどで、その人柄もよく描かれている。
文体が逐語録なので、恣意的な文章表現はついていない。会話と目に見える現象のみである。
読んでいると、目の前でパールズとクライエントが椅子に座って向き合っているように感じられる。
一つ一つのケースに必ず気づかされることがある。
ドリーム・ワークの名の通り、夢を材料にゲシュタルト療法を行っている様子なのだが
フロイトの夢解釈や、ユングの夢分析より直観的でわかりやすく、物事も流れるように理解できる。
本当に解釈がいらないのである。なぜならクライエントに夢を演じさせるからである。
そして私が気づいたことは、セラピストの解釈や予想が、いかにセラピーを歪ませているか、ということだった。
パールズはわかりやすく、純粋に、ただ「今、ここ」を見て、働きかけるだけである。
彼の技法の様子は、実験の連続である。
最初から大成功するようなものではなく、あっちをいじってみたり、こっちを突付いてみたり・・・。
本の中で説明されているが、彼は必要以上の期待をクライエントにしていないので、傲慢に働きかけることはない。
27番目のケース、ジョンの事例になるとよくわかる。
ジョンはまさしく、読者の中にあるパールズに対する否定的なイメージそのもので、
パールズを失墜させようとずる賢い態度をとるが、悪口は最後まで言わないのである。
ようやくジョンがパールズに悪態をついて、パールズは嬉しそうに笑うのだが、思わず私もつられて笑ってしまう。
パールズはところどころでジョークも挟んでいるため、失礼な爺(ほめ言葉)なのだが
読者はくれぐれも、彼がクライエントたちと十分に信頼関係を築いていて、彼自身の潜在能力をきちんと使っている結果なのだと、念頭において読んでほしい。
ちなみにホット・シートは自宅で一人の時でもできる。一回試してみると、この本の中で起こっていることが一層理解できると思う。