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ケータイ小説のリアル (中公新書ラクレ)
 
 

ケータイ小説のリアル (中公新書ラクレ) [新書]

杉浦 由美子
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

著者コメントより:「ケータイ小説は小説ではない」と言う人もいますが、本書では「ケータイ小説」を新しい文芸として捉えています。「ケータイ小説」の書籍は売れ続けており、映像作品の原作としても注目を集め、現在、最も勢いがある文芸ジャンルと言えましょう。今まで、メディアでは「携帯電話でケータイ小説を読んだ人が、バイブルとしてケータイ小説の書籍を買う」と報道されてきました。しかし、コンテンツ取材を続けているノンフィクションライターの私がちゃんと取材をしてみると「ケータイ小説」書籍のメイン読者は地方の中学生である判明しました。つまり、イコール携帯電話を所有しない層なのです。メディアで報じられてきた「ケータイ小説」ブームと、実際には大きな食い違いがあり、そこには「携帯電話」という新しいメディアへの幻想があるように感じてなりません。10代の携帯電話市場の実際、フィルタリングの波紋についても言及しました。また、後半では少し文芸批評的な視点も加えて、志賀直哉から「ギャルズライフ」、恋愛シュミレーションゲーム、夢小説などの古今のコンテンツとの比較しながら「ケータイ小説」書籍が売れる真の理由も解明しております。

内容(「BOOK」データベースより)

ベストセラー上位を占めたケータイ小説。既成の文壇からヒステリックに否定されるこの新文芸は、いかなる構造をもつのか。80年代の文化にまで遡り、その内実を歴史的に描きだす。

登録情報

  • 新書: 221ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2008/5/8)
  • ISBN-10: 4121502795
  • ISBN-13: 978-4121502797
  • 発売日: 2008/5/8
  • 商品の寸法: 17.6 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 倒錯委員長 トップ500レビュアー
形式:新書
と、思わずタイトルで一句詠んでしまったが、「腐女子」を語った杉浦由美子の新刊。
前回は「自称はできるけど他人に語られるのは嫌」という腐女子の生態を述べておきながらも、自らそれを思いっきり「腐女子化する世界」という本にしてしまった筆者であるが、勇気ある(懲りない?)彼女の今度のターゲットは「ケータイ小説」。

「ある編集者」ではじまるインタビュー取材主体の構成は、新書として出すには少々軽々しく、前作同様に雑誌感が漂っていて多少の抵抗はあるが、ケータイ小説から見える「地方格差」の問題など、この本でわかることもある。

ケータイ小説は一見すると内容が空虚にみえるため、文学畑を始めとするいろいろな人間から批判されている。筆者によると、ケータイ小説とは女性の妄想のリアルに訴える小説らしい。妄想(自分の思うがままの空想)のリアルだから、内容が空虚になるのだ。

しかし、前回のBL本の時もそうだったが、どうもこの人は女子=妄想する人のラインを結び付けたいらしい。しかもその女子とはたいてい美人で、「美人はみな妄想するもんだ」という固定観念があるみたい。
ほほほ、杉浦様こそ、ご立派な妄想をお持ちで・・・。

ケータイ小説作家が顔出ししないのも、読者のあたかも自分が創作したという妄想を邪魔しないためらしい(これは僕の妄想ではない。杉浦さんが書いているのだ!)。

レビュータイトルにも書いたが、妄想は一人でやってるうちはいいが、本文中にあるように美容師との会話中に、妄想であるという断りもなしに語りだす人はどうかと思うぞ。そりゃ立派な虚言癖だ。
杉浦さんは、妄想を他人が思っている以上にすばらしいもの、崇高なものに思いたがっているらしいが、精神分析的に言えばそれってパラノイアの一種だからね。

ケータイ小説が一時のブームとして終息するのか、少女コンテンツの一種として市場に定着するのか。
筆者いわく、それはまだ未知数らしい。
ケータイ小説に対する社会的関心も高く、まだ謎も多く残されている今の時期が、この本の出版に一番よかったのかもしれない。
同時にそれは、ケータイ小説自体がどうでもいいことになる前の、あるいは腐女子の時のように「間違っている!」と批判に晒される前の今のうちに、この本は読んどいたほうがいいということかも。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
ケータイで読める気軽な小説を印刷体として買う人がいることが理解できなかったが,その事情は判明した.その点はマーケッティングの一つの研究対象になり得ると思う.地方で売れる理由,親公認の書籍としての存在など,実に巧みな戦略があるであろうことは察せられる.
リアリティの問題,妄想からの発展など,著者の仮説を検証していくのだが,少々強引さと説明不足は否めない.ブログ,妄想,小説への流れの中で,「妄想語り」がケータイ小説の本質であると論じているが,本当にケータイ小説の作家にとって妄想の延長であるかの検証を実例を交えて行って欲しい.
残念ながら,本書を読んでも,ケータイ小説を読む気にもならなかったし,興味も湧かなかった.
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妄想少女論 2008/8/15
形式:新書
書店関係者、編集者など数多くの取材を元に、ケータイ小説の現状を論じた本。
数多くの論点が詰め込まれているが、興味を惹かれたポイントは3つ。

1:どんな環境の、どんな読者・作者がこれを買って・書いているか?(環境分析)
2:ケータイ小説には何の影響がみられるか?(歴史分析)
3:読み手・書き手は、ケータイ小説に何を求めているか?(欲望分析)

1に関しては、各種データを元に、地方の女子中学生とその母親世代が買っていると指摘。地方の女子中高生にはまだまだケータイが普及していないため、通常文芸書は都市部中心に配本されるのに対し、ケータイ小説は地方での配本にも力を入れているため、そして、都市部に対し、娯楽コンテンツが相対的に少ない地方では、恋愛がより重要視されるため、こうなるのだという。この点に関しては「見ている」のに「見えていなかった」日本の姿が、みえたようで刺激的だ。

2については、80年代あたりから普及しはじめたライトノベルや、雑誌「ギャルズライフ」などの読者投稿欄とケータイ小説の文体が似ているという。ただ、これに関しては90年代カルチャーの分析が薄いため、「間が飛びすぎてないか?」という気持ちになる(より詳細な分析は、速水健朗「ケータイ小説的。」を参照)。

3については、日本がブログ投稿数世界1位であることなどを挙げつつ、「書く消費」欲望をケータイ小説に求めているのでは?と指摘。これには、表現欲とともに、書くことで読者と反応を交し合い「つながり」たいという欲もあると論じている。また、女性のある層に存在する「妄想欲」が、ケータイ小説に惹かれる要因となっているとも指摘。ちなみに、「妄想欲」を持つのは美人が多いという。これは、美人の方が、男に呼ばれたり、誘われたりと「事件」が多いので「そんなアタシならもっと大きな事件があるに違いない!たとえば・・」と、妄想の引き金が引かれるからだという。この点に関してはわかる気もするが、「ホンマかいな?」という思いもぬぐえない。著者が、これまでの「腐女子」分析で得た知見を、本書と接続しようとしすぎているのではないか。

ともあれ、この他にも、面白いと思わせるアイディアや論点が、多く散りばめられているので読んでソンはないと思う。なかでも、ケータイ小説に登場する男は彼女が妊娠すると「出産を望む」という点を指摘しつつ、これは「望まぬ妊娠」を描いてきた、これまでの近代小説と逆ベクトルを向いていると論じる辺りは刺激的だ。「妊娠小説」(斉藤美奈子)のアップデートバーションをぜひとも書いてほしい。
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