フランスの書店の老舗ガリマールの叢書には「ケルト」がいくつか入っていて、日本では本書と、もうひとつの『ケルト文明とローマ帝国』も、同じく鶴岡氏の監修で出ていますね。
この値段で写真が満載で、ケルトの通史がヴィジュアルにわかりやすく、すっと入ってくるだけでなく、とにかくヨーロッパの東から西まで横断したその文明のたくましさに、心を打たれます。
ケルトの歴史を初めて聞く人でも、エンヤの曲が好きな人はいっぱいいます。曲線のケルト文様は、センスよく、神秘的で、現代デザインとしても、楽しめ、音楽ともつながってくるようです。
しかも、この本で、ヨーロッパ大陸の、ドイツやオーストリアが、むしろケルト文明の発祥に近い地域であることを知り、塩の交易で栄えた世界遺産「ハルシュタット」にも、さっそく行ってきました。ウィーンの自然史博物館には、その遺物がコレクションされていて、それも見に行き、感動ました。
またいっぽうでは、その後の歴史では、まったく正反対かと思われている、フランスも、じつは「ガリア」として、やはりケルトのおひざ元の文明を築いたことがわかります。著者のフランス人たちの誇りとしても、ガリアの歴史が伝わってきます。
これからはルーブル美術館だけを見て、パリから帰ってきてしまうのではなく、今度はこれらケルト、ガリアのすぐれた美術や工芸が収められている、パリ郊外のサンジェルマン・アン・レイ国立考古学博物館にも、是非訪ねたいと思います。
ヨーロッパ史の見方を、おおきく変えてくれる、信じられない廉価で小さくてとも、さすがの、大きな一書で、絶対お薦めです。