アイルランドに残されたケルト神話の、格好の入門書である。ダーナ神族の神話、英雄クーフリンを中心とするアルスター神話、そしてフィアナ騎士団の物語について述べられているので、読者は標準的なアイルランドの神話物語に触れることができる。ケルト神話が初めての人にとっては、内容的にも、値段的にもありがたい1冊になるはず。著者の語りは丁寧で、分かりやすい。また、序文でケルト人の文化について簡単に解説してくれたり、あとがきでケルトを学ぶことの意味について述べてくれることもうれしい。神話を読んでちょっと驚いたのは、ケルトに輪廻の考えがあったこと。…でもよく考えると、北欧の『古エッダ』にも転生について述べた話があった。このように、キリスト教が伝播する以前の古ヨーロッパの精神や文化に接することが出来ます。ケルトに興味のある人は、ぜひこの本を読んで、ケルトへの関心を深めてほしいですね。