『生物の密度と化学因子』より
1970年代、Nealsonらは発光細菌Vibrio fischeriと
Vibrio harveyi において、細菌が一定の密度に達すると
ルシフェラーゼ関連遺伝子が発現し、生物発光がひき起こされる
ことを発見した。培地中の細菌密度が十分量に達しているときにのみ
生物発光という現象が起こるということから、細菌が生産し、
細胞外へ放出されたシグナル分子の濃度にその現象が関与していると
考えられた。このシグナル物質は細胞から放出され、同一細胞内に
作用するのでオートインデューサーと名づけられた。
1981年に同じくNealsonらはケモスタットを用いた注意深い培養を
行うことにより、オートインデューサーの概念を確立させた。
そしてこの細菌の細胞密度依存的遺伝子発現制御系のことを
法律用語で定員、定足数を意味するクオラムという単語を用いて
「クオラムセンシング(quorum sensing)」とよんでいる。
クオラムセンシングによってひき起こされる現象は多岐にわたっており、
生物発光、毒素、色素、抗生物質などの生産、バイオフィルムの形成、
コンピテンスの獲得などがあり、われわれの生活とも深くかかわっている。
そのためクオラムセンシングに関しては、遺伝学、生物学、有機化学などの
幅広い分野での基礎研究が行われている。
★ケミカルバイオロジーと言っても色々な分野がありますが、
今後、最も伸びそうなのが、クオラムセンシングだと思います。
面白いし、お金にもなる(?)分野なので、
新聞やTVで騒がれる前に知っておくと、
ちょっとカッコイイかもしれませんよ。