刊行から2年たってますが、つい最近、手に入れて読んで、「もっと早く見つけて読むべきだった」というのが最初の読後感です。
全体の流れは取材の時間的な流れに沿って書かれているのですが、その展開は少なからず心を動かされます。科学者のとりくみとケニア現地の実情が単純に対比されるだけでなくて、グローバルにもローカルにも複雑にからまりあう企業、競技団体、経済、科学、貧困とおカネ、民族、文化・・・奥の深い話がどんどん出てきて、話に引き込まれます。
もっとも、「カレンジンの速さの秘密はメンタリティにある」という著者の結論は、わたしには「もう一押し!」欲しいところです。彼らのメンタリティをつくりだし、支えているのはなにものか? ポスト・コロニアルな状況とか、国際経済とスポーツ界とメディアが絡み合うグローバルな構造とか(著者が新聞記者ですから、これはやや無理な注文か?)、そんなものに迫っていけるさまざまな断片が本書にはたくさんちりばめられています。「読んで、考える」ことができる良い本だと思います。