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ケインズ (講談社学術文庫)
 
 

ケインズ (講談社学術文庫) [文庫]

伊東 光晴
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1930年代の世界恐慌下、大量失業を救うために低金利政策と積極的な公共投資を主張して、伝統的理論を一新したケインズ。その経済思想と彼の代表的学説『雇用・利用および貨幣の一般理論』の骨格を、豊富な図表を用いて平易に説き、ケインズ経済学の真髄を論究。欧米など先進各国の経済運営に画期的変革をもたらし、いま再び世界的な長期不況の下で注目される大経済学者の理論と影響力を描く力作。

著者紹介

【伊東光晴】
1927年東京生まれ。東京商大卒。専攻は理論経済学。東京外大教授、千葉大教授を経て現在、京大名誉教授。著書は『経済学入門』『大量消費時代』『技術革命時代の日本』など。

【水田 洋】
1919年東京生まれ。東京商大卒。現在、名古屋大学名誉教授。主著に『アダム・スミス研究』。

【浅野栄一】
1929年東京生まれ。東京商大卒。現在、中央大学教授。著書に『ケインズ「一般理論」形成史』。

【青木達彦】
1945年上海生まれ。現在、信州大学教授。著書に『経済動態と市場理論的基礎』(共編著)。


登録情報

  • 文庫: 421ページ
  • 出版社: 講談社 (1993/12)
  • ISBN-10: 4061591053
  • ISBN-13: 978-4061591059
  • 発売日: 1993/12
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.4 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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44 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:文庫
著者は自他ともに認める「ケインズ原理主義者」(根井雅弘)。経済理論史のオールラウンドプレイヤー=杉本栄一が京都大学に残した弟子(その伊東が京大に残した弟子が根井)。名著として名高い『コンメンタール---ケインズ『一般理論』』(宮崎義一との共著)が絶版で古本屋にもあまり出回らない現下,浅野栄一が有斐閣新書から出した『一般理論』の手引きと並んで,本書は最高のサブテキストだとされる。一日1,000円しか小遣いのないサラリーマンにとって,これを1,000円余りの文庫にした企画力が評価されるべき。ただ,水田洋と浅野と青木達彦という豪華な顔ぶれの共著であるはずなのに,伊東の単著であるかのような装丁は不思議。

I「現代経済思想としてのケインズ」,II「ケインズの生涯」(水田),III「ケインズの理論」,IV「ケインズと現代」という四部構成は,単行本時『人類の知的遺産』シリーズ編集局から課されたものだろうが(同シリーズ『ニーチェ』もそうだ),どれから読んでもよいほど各章が完結している。4頁にわたる索引まであるのは,わたしのような経済学音痴には嬉しい。これで1,000円。

「supplementary cost」「user cost」をめぐる適訳の提示にとどまらず,全集邦訳『一般理論』で訳された「不効用」より「負効用」が適切だと訴えているが,わたしもそう思う。“翻訳”を超えた“解釈”をめぐっても,全集訳者による説明を「誤りである」とするなど(151頁),わたしのような鈍(なまく)ら読者にさえ,理論解釈をめぐる緊迫感が伝わってくる。

モーリス・ドッブなどという真っ赤っかなマルキストが,じつはケインズの薫陶をうけていたという事実は衝撃的であったが,これを知ったのは本書を通じてではなかったかとおもう(本書表紙カバーが赤地なのは無関係だろう)。この副読本を読んで初めて『一般理論』に一歩近づけたという思いがあったが,その後の歩みがないのはわたしが悪い。しかし,三流大卒の一介のサラリーマンでさえその一歩をたった1,000円で踏み出せたとすれば,「『一般理論』を読むのはちょっと・・・」と躊躇している人にとって,この本は“買い”だ。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By h.yamagata 殿堂入りレビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 まず他のレビューでも指摘されている通り、これって伊東の単著じゃないのね。400ページのうち、150ページ分くらいは他の人が書いてる。それを単著と称して出すことの道徳性というのは批判されるべきだと思う。ケインズ経済学はモラルサイエンスだと言ってる人のモラルがこの程度とは。

 で、本書はケインズ―“新しい経済学”の誕生 (岩波新書) (1962) と、現代に生きるケインズ―モラル・サイエンスとしての経済理論 (岩波新書) (2001)の間くらいに書かれた本。原著が1983年、文庫収録が1993年。味わいも、両者の中間くらい。一応、生涯の解説(これは別の人が執筆)、一般理論の詳しい説明(かなり細かい)があり、それがその後どう展開したか(これもほとんど別の人が書いてる)が説明されている。

 が、一般理論解説は、その後の解釈や批判に対するあれこれ予防線が多いため、うだうだしくてかえってわかりにくい感あり。特に古典派の理論をあれこれ微分方程式を並べ立てて説明しているのは、正直いって中身とあまり関係ない。それ以外のものも、ケインズの書いたことをそのまま流しているだけのところが多く、あまり説明になっていない。同時に、その生涯における関心事との関連づけが薄く(別々の人が書いているのでしょうがないが)、本の各部分どうしがまとまらずに散漫な印象となる。

 また、別の人が書いているその後の理論的展開の部分は、本当に視野が狭い。フリードマンから合理的期待形成、ニュークラシカルはほんとになぞるだけ。その後はケインズっぽい話だけに的をしぼっていて、ミンスキーくらいで話が止まる。好き嫌いはあるだろうけれど、80年代半ばとはいえニューケインジアンに一言も触れないポストケインズ解説ってあまりに偏狭では(文庫化にあたり加筆する余裕もあったのに)。

 さらに、その後伊東自身がケインズ批判に対する答の中で、サプライサイド派や合理的期待形成にも少し触れているんだが、ラッファー曲線を長々批判する一方で、合理的期待形成は一ページほど。バランスの悪さは否めない。それをまったく無視した「現代に生きるケインズ」よりちょっとはマシだが。その他の批判も、世の中がケインズ様のおおせの通りになっていないというグチに終始している。

 ケインズだけにしか関心のない人なら読んでいいかもしれない。でも、いまの世界にケインズがどう関連しているか、というのが知りたい人は、手を出す必要はない。ケインズであっても、原理主義は悪い方向にしか働かないという見本ではある。
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2 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「一般理論という意味は、ただちに理解されるように、完全雇用の状態だけでなく、
失業者が存在する場合をも含む理論であるという意味であり、古典派の理論は、
働きたいというものがすべて雇われているという完全雇用の状態にのみ妥当する
(現実とかけはなれた)特殊理論であるということを、ケインズは明らかにしようとしているのである」
「ケインズは計量経済学に反対した。・・・それは行為の帰結を数学的期待値によって推定するということ自体が、
彼にとって帰結主義の代表であると考えられたからである。
確率によって将来が把握できるということは、将来を確定するということと変わりがない」
「将来がどうなるかわからない。それはもちろん不安と期待を生む。
・・・そして今日のいろいろな事態が、将来への予想を変えることによって、今日を変えていく。
・・・将来が現在を決定するという新しい思想をここに提出しえたのは、不確実性の世界を論ずるがゆえに、
帰結主義の立場をとることができないという、ケインズの功利主義哲学に対する徹底的な批判のうえに根ざしていた」
「予想(不安⇒流動性選好)は人によって多種多様であるというのがケインズ理論の前提になっている」

貯蓄美徳観を留保 = 累進課税の正当性 ⇒ 福祉国家(豊かな社会)

「豊かな社会を維持するためにはそれを維持するに十分な投資がなければならない。だがそれが実現しにくい。
このことが豊かな社会の問題であり、これが豊かな社会において失業を大量に生み出す原因である。これがケインズの認識である」
「従来の貯蓄観を変えることによって、累進課税を強化させた。それによる、平等化政策を推し進めたのである。
なぜならば、貯蓄は節倹という美徳の結果であって、たしかに資本主義は不平等を生み、
よくないけれども、その資本は美徳である貯蓄の累積なのであるという考えをもつ限りにおいて、
社会主義者を除いて、資本主義否定は生まれることがなかった。
資本主義の弊害を強く主張する人間も、貯蓄、節倹、美徳観のうえに立っていたからである。
ケインズは、このような考え方は一般的に妥当しないのであって、
有効需要の不足している経済のもとでは、貯蓄は有効需要の削減であり、不況深化であり、
社会はそれによって富の削減を被るということを主張したのである。貯蓄は必ずしも投資にならない」
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