内容としては「一般理論」のダイジェスト版といった趣です。すべての章についてまとめてあるので、これから「一般理論」を読もうとされる方には、大変参考になると思います。理論の依拠する前提条件、時代背景などについても詳しく論じられていて、読み応えがあります。
ただ経済学についての素養があまりない初学者にとっては、少々つらい書物であると思います。ミクロ、マクロの知識も必要とされますし、(いたずらに高度ではないですが)途中に数式もあるため数学に抵抗感のある方は読み進むのに多少の障害を感じるかもしれません。レベルとしては学部の中上級生以上向きだと思います。
以上のような難点はあるものの、「一般理論」の素晴らしい解説であることは間違いありません。「一般理論」を引用した部分の和訳も、こなれた日本語でわかりやすいです。ケインズ理論に初めて触れる方は、吉川洋「ケインズ−時代と経済学−」を先に読んでおくと、理解がより進むと思います。