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つまり、ケインズは、象牙の塔に住む学者ではなく、イギリス経済が激変する中にあって、その時々の経済問題に対し積極的に提言を行う実践者であった。本著を読むと、彼の生きた時代にイギリスが直面した失業、インフレ、通貨制度選択といった諸問題に対する彼の分析や提案を通じ、ケインズの実践者としての偉大さが伝わってくる。
私自身、大学・大学院を通じて経済学を学んだが、経済学の数理化・タコツボ化のせいか、学者の多くは、経済学自体には詳しいが、現実の経済問題に対して地に足の着いた分析をしようしない「経済学」学者となっているようにも見受けられる。是非とも、理論家としてのケインズのみならず、リアリストとしてのケインズからも多くを学んでほしいものと、自戒の念もこめて思わずにはいられない。
新古典派の「復活」の中にあって,ケインズ理論は「劣勢」だが,ケインズ理論の方が現実の経済を上手く説明できること,無意識(?)にしろエコノミストの多くがケインズ理論に「依拠」していること,なども語られている.
巻末には(ケインズ理論への批判的な著作を含め)読書案内もあり便利である.
総体として,小著ながらよくまとまっていると思う.
「経済学の研究のためには、非常に高度な天賦の才といったものは必要ない。経済学は哲学や自然科学に比べればはるかに易しい学問といえるだろう。にもかかわらず優れた経済学者は非常に稀にしか生まれない。このパラドックスを解く鍵は、経済学者がいくつかの全く異なる才能を合わせ持たなければならない、という所にある。彼は一人にして数学者であり、歴史家であり、政治家であり、哲学者でもなければならない。個々の問題を一般的な観点から考えなければならないし、また抽象と具体を同時に兼ね備えた考察を行わなければならない。未来のために、過去に照らし、現在を研究しなければならない。」
最初にこの文章を見た時は衝撃でした。このケインズの言葉が研究者の卵である自分にとって未だに重要な教訓となっています。
本書の『一般理論』の章読んで感じたことを三つ挙げる。... 続きを読む
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